改新の詔(読み)かいしんのみことのり

山川 日本史小辞典 改訂新版 「改新の詔」の解説

改新の詔
かいしんのみことのり

日本書紀大化2年(646)1月1日条にみえ,大化の改新の基本方針を示した法令。内容は4カ条からなり,それぞれ主文といくつかの副文からなる。第1条は,旧来の部民制を廃止し,諸豪族にはかわりに食封(じきふ)や布帛(ふはく)を支給すること。第2条は,京師・畿内・国司郡司などの行政区画画定。第3条は,戸籍・計帳・班田収授。第4条は,旧の賦役をやめて新しく田之調(たのちょう),戸別之調および調副物(ちょうのそわつもの),贄(にえ),仕丁徴収を定めている。その特徴は,これまで部民制・国造制によって治められてきた地方人民を,国家が直接支配する公民に編成し,一律の税をかける点にあり,中央官制にはふれず,中央の豪族が割拠する畿内も対象から除外されていた可能性がある。なお,詔の信憑性についてさまざまな疑問が出されている。いわゆる郡評論争により詔文の「郡」は大宝令用字であること,副文の一部に大宝令文の転載がみられることなどから「日本書紀」編者の手が加えられていることは明らかであるが,645年8月および646年3月の東国国司の詔や同年3月の皇太子奏,同年8月の品部(しなべ)廃止の詔なども同様の政策を示しており,詔の存在自体は事実とみられる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「改新の詔」の意味・わかりやすい解説

改新の詔
かいしんのみことのり

『日本書紀』大化2 (646) 年正月所載の詔勅。屯倉,田荘などの私有地,ならびに子代,部曲などの私有民の廃止,地方官制の整備,戸籍,計帳,班田の制の創設,税制の改正など,多方面の内容を含む。隋唐式中央集権国家の完成を意図する大化改新において,その国政改革の中核をなすものとして掲げられた法令である。ただし史料的価値について,次の2つの説が対立している。 (1) 潤色説と称される。すなわち,この詔勅に関して,書紀編者は原資料をもっていたが,それには処々に欠落があった。したがって,編者はその欠落部分を,編纂時の現行法大宝律令を使用して,適宜に補ったと考える説である。 (2) 造作説と称される。すなわち,書紀編纂時において,このような詔勅は何も伝えられていなかった。編者は律令制の由来を説く必要から,その開始の時期を大化に求め,詔勅を創作したと考える説である。以上の2説はいまだ解決されず,改新政治の政治史的意義を論じることを困難としているが,詔中には税法,田荘制の廃止など信ずべき部分もあり,潤色説のほうがやや有利と考えられる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「改新の詔」の解説

改新の詔
かいしんのみことのり

大化の改新

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