教育を受ける権利(読み)きょういくをうけるけんり

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

教育を受ける権利
きょういくをうけるけんり

日本国憲法は「すべての国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(26条1項)と規定し、国民に教育を受ける権利を保障する。すべての国民がその能力に応じて、経済的な貧富の別なく、等しく教育を受けることができるように、国は、立法および行政において必要な施策を行わなければならないことを義務づけられる、いわゆる教育の「機会均等」の保障である。

 そのために教育基本法に基づく学校教育法、社会教育法、私立学校法などを設けて教育制度を整備し、また日本育英会法などによる経済的困窮者に対する育英奨学制度が設けられるようになった。さらに憲法は「すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする」(26条2項)と規定し、この権利を実現させるために、保護すべき子女に教育を受けさせることを国民の義務として課している。それは、国民の教育レベルを向上させて国民の一人一人に健康で文化的な生活を営ましめるためであり、民主的な社会を健全な能力により保持せしめようとするためである。さらに憲法の目ざす「平和で民主的で文化的」な国家の主権者を育成するためである。なお1948年の世界人権宣言は「すべての人は、教育を受ける権利を有する」(26条1項前段)と規定し、第二次世界大戦後の世界各国の憲法には、前述と同様の「教育を受ける権利」が規定されている。

[永井憲一]

『永井憲一著『憲法と教育基本権』(1970・勁草書房)』

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世界大百科事典内の教育を受ける権利の言及

【学習権】より

…学習権というとらえ方は,教育に関する権利を人間の発達と学習という観点からみている点で,新しい人権理解である。日本国憲法26条にいう〈教育を受ける権利〉を,いっそう積極的にとらえたものといえる。教育を受ける権利の主体は,すべての国民であるが,人間的発達の過程をもっとも集約的に示すのは子ども・青年であるから,学習権は,まず子ども・青年の権利として理解される。…

【義務教育】より

…戦前においては,義務教育を受けることは兵役,納税と並んで臣民(国民)が国家に対して果たすべき三大義務とみなされていた。これに対し戦後の義務教育は,〈教育を受ける権利〉が憲法のなかに明記(26条)されることにより,子どもの学習する権利を実現するべきものへと根本的な転換をとげた。子どもの学習権を保障するために,まず保護者が就学の義務を負い,ついで地方自治体と国が学校設置義務をはじめその無償制や十分な教育諸条件を整備確立する就学保障義務を課せられたのである。…

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