斎田村(読み)さいたむら

日本歴史地名大系 「斎田村」の解説

斎田村
さいたむら

[現在地名]鳴門市撫養町斎田むやちようさいた

黒崎くろさき村の南にあり、南は南浜みなみはま村、東は小桑島こくわじま村。東方の一部が撫養川に面し、対岸林崎はやさき浦との間は淡路街道の林崎舟渡によって結ばれていた。南の南浜村との間を東西に通る淡路街道(撫養街道と重なる)沿いは四軒屋しけんや町という郷町になっていた。南浜村南の新池しんいけ川北岸に飛地がある。村名は才田・財田とも記される。仁治四年(一二四三)讃岐へ配流となった紀伊高野山の僧道範は、二月一〇日淡路国福良ふくら(現兵庫県南淡町)を出港して「阿波ノ戸」を渡り、「佐伊田」に降りた。「海路三里余。シマジマ入江々々ノ有様、悦目養意。舟ヲヲリテ阿波国坂東郡大寺ニ宿ス」とある(南海流浪記)

鳴門辺集」によると、慶長年中(一五九六―一六一五)播州赤穂から大谷長左衛門という者が来住して塩浜を開き、その後庄屋役を命じられたという。また享保一〇年(一七二五)の撫養塩浜開起書(馬居家文書)によれば、大谷五郎右衛門と黒崎村庄屋馬居家の祖七郎兵衛が播州から来て、慶長四年にえびす山下に塩浜を築立て、その後おいおい開発が進み、大斎田・中斎田・大黒崎・小黒崎からなる斎田四組の塩浜ができたという。同九年には斎田大池が築造されている。同一〇年徳島藩主蜂須賀至鎮による斎田四組などの見分があり(同開起書)、同年一二月四日三ヵ条からなる板書の新開田定書(馬居家蔵)が下された。この定書によれば、「板東郡斎田村」の新開田は六斗代、畠は三斗代とし、請は三ツとすること、この荒地はのちのちまで蔵入地とすること、荒地で百姓をする者は諸役免許とすることと定められた。同一一年頃には斎田・鍬島くわじま・南浜・北浜・竹島たけしま三石みついし明神あきのかみの撫養斎田七島が成立、七郎兵衛・五郎右衛門は組頭庄屋役に任じられた。


斎田村
さいだむら

[現在地名]玉村町斉田さいだ

板井いたい村の東、利根川右岸に位置し、群馬郡に属した。南は玉村八幡宮に及ぶ。ただしこれは当村と中斎田村を合せた村域で、各々の範域は明確でない。南西方に下斎田村(現高崎市)があり、斎田は「和名抄」にみえる那波なは鞘田さやた郷の遺称地とする説もある。鎌倉極楽ごくらく寺領玉村御厨に含まれ、応永三四年(一四二七)と推定される比丘亮託・思明連署書状(金沢文庫文書)に「佐谷田」とみえ、同寺に対し米と銭を納めていたが、損亡を理由に米納分の減免を訴えている。天正七年(一五七九)宇津木左京亮は武田氏から「斎田之郷長井分」五〇貫文など、二八一貫文の知行地を与えられている(同年一二月二八日「北条高広奉書」宇津木文書)


斎田村
さいだむら

[現在地名]三本木町斎田

郡西端にあり、西は加美かみ一関いちのせき(現色麻町)、北は鳴瀬なるせ川を挟んで堤根つつみね(現古川市)加美郡下新田しもにいだ(現中新田町)に接する。正保郷帳に田一八貫八六六文・畑四貫八六一文とあり、ほかに同所新田九貫一六七文があり、水損と注記される。「封内風土記」の戸数は二三。南の丘陵花見はなみ山に多くの古墳群がある。「宮城県神社明細帳」によれば、文治五年(一一八九)源頼朝は敷玉早御玉しきたまはやみたま神社の地に若宮八幡社を建立し、さらに「敷玉社ノ宮殿ヲ再改建シ、高倉荘坂本郷ノ地水田若干ヲ社領ニ附シ」とある。


斎田村
さいだむら

[現在地名]神戸町斉田さいだ

揖斐いび川右岸に位置し、南東の対岸は呂久ろく(現本巣郡巣南町)、西と南は柳瀬やなせ村。かつて大野郡に属したという(新撰美濃志)。村名の由来は、暦応三年(一三四〇)の大井庄華厳会料名寄帳(東大寺図書館蔵)にみえる在田殿に関係するという説や、往古当地にあったと伝える七堂伽藍の斎田によるなどの説がある(神戸町史)。永正一五年(一五一八)一二月二七日の甚三郎貞給売券(松木文書)に「みのゝ国さいたの内ろく」とみえ、田中忠彦に伊勢参詣の道者職が売渡されている。


斎田村
さいたむら

[現在地名]南勢町斎田

伊勢路いせじ川の支流の小河川中流域の山間部にある。東は伊勢路村、西は川をさかのぼって鴻坂こうさか峠を経てこま村・和井野わいの(現度会町)に至る。「志摩国旧地考」には、「斎田ト云フ村名モ神戸・神田等ニ因レル称ナルベキカ」とするが、伊勢神宮との関係は知られない。天福二年(一二三四)の年紀をもつ穂原ほのはら八王子社の棟札(穂原村誌稿本)にみえる八王子社の「細田」から転じた地名とするが確証はない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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