紀元前1世紀から後2世紀にかけてローマとアレクサンドリアを中心としておこった哲学の学派。始祖ピタゴラスの「万物の原理は数である」という教説を発展させ、古代の哲学、宗教、芸術、教育に大きな影響を及ぼした。宇宙と自然と人間を結び付ける共通の絆(きずな)がある。それが「数」であり、その関係を示す「比」である。したがって「数」と「比」の研究は、万物を支配する根本原理たる「神」の研究にほかならない。こう考えて観想数学、神聖幾何学を神学の基礎に据え、宗教的象徴体系の背後にある数学的形相を探求して、実践的に応用した。代表者として、テュアナのアポロニオス、スミルナのテオン、ゲラサのニコマコス、アパメアのヌメニオスなどをあげることができる。この学派は、現代では迷信家、折衷家と不当に軽視されているが、古代・中世の教養の基盤たる「自由七科」(リベラル・アーツ)の理念を確立し、ルネサンス運動の原動力ともなった重大な学派である。
[大沼忠弘]
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