ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新ユニオニズム」の意味・わかりやすい解説 新ユニオニズムしんユニオニズムnew unionism 新組合主義。 1880~90年代のイギリスで発展した一般労働組合を中心とする不熟練労働者による労働組合運動をいう。イギリスの労働組合は 19世紀中葉から後半にかけて熟練労働者の相互扶助組織である職業別組合として発展し,これらの組合は「新型組合」 new model unionと呼称され,自己の業種上の技術や特権を維持する一定の熟練度を保持した熟練労働者の閉鎖的な組合であった。 80年代に入るとこの新型組合とは異なった不熟練労働者の組織化が港湾,ガス,鉄道,海運,炭鉱などの労働者によって始った。不熟練労働者であるために賃金が低く,相互扶助資金として高い組合費を支払うことが不可能であり,また組織上職業 (職種) をこえたものにならざるをえず,相互扶助よりも交渉または闘争の機能を重視せざるをえなかったため,結成の契機は労働争議によることが多かった。その一事例は 1889年ロンドンのガス労働者が8時間労働を要求して立上がり,「ガス労働者および一般労働組合」の結成に成功したことに示される。これらの新組合主義に依拠する労働組合は,新型組合が 68年につくった中央機関である「労働組合会議」に参加したが,新型組合がイギリス自由党を支持したのとは異なって,自由党から独立した労働者階級の独自の政党を結成しようと努力し,これがイギリス労働党の結党の一要因となった。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by