新軍(読み)しんぐん(英語表記)Xīn jūn

改訂新版 世界大百科事典 「新軍」の意味・わかりやすい解説

新軍 (しんぐん)
Xīn jūn

中国,清末に新編創建された新建陸軍略称。日清戦争により勇営(建国以来の八旗緑営制を太平天国後に改編した中心的漢人部隊)の無能が明らかとなり,西洋式の軍隊が建設されることとなった。1895年(光緒21),淮勇(わいゆう)の一部の定武軍10営を基礎に,天津南東の小站で7300名の新軍が発足した。監督は袁世凱(創立当初は胡棻(こいつふん)),教育長は李鴻章の軍事顧問ハンネケンH.von Hannekenで,万般,ドイツを模範にした。歩騎砲工輜の兵種別編成(1師は1万2500名),近代装備,訓練規律,軍人意識など,いずれの面でもそれは中国の軍事史上,新生面を開くものであった。その後しだいに拡充されて,1907年に36個師団建設計画が建てられ,辛亥革命直前には14個師団と18個混成旅団,計約17万余が建設された。当時,伝統の八旗約20万名,半洋式の巡防営数十万名の隊伍もあったが,軍事力としての新軍の重要性は決定的であった。清末には富強の中国の建設に献身しようとして多数の有為の青年が軍に身を投じ,しかもかれらの多くが革命化したため,新軍は辛亥革命で重要な役割を果たすことになる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「新軍」の意味・わかりやすい解説

新軍
しんぐん

中国、清(しん)末に編成された中国最初の近代的軍隊。1894年、5000人、10営で編成した定武軍に始まり、日清戦争敗戦後、袁世凱(えんせいがい)が受け継ぎ、新建陸軍と改称して、天津(てんしん/ティエンチン)近郊の小站(しょうたん)で、ドイツの軍隊をモデルに本格的な建設を開始した。義和団事件後の清朝は、「新政」の要(かなめ)として騎兵歩兵工兵輜重(しちょう)などの各兵種をもち、1万2512人からなる「鎮(ちん)」(師団相当)を全国で36編成することとした。国内各地に武備学堂(士官学校)を設立して、その卒業生ならびに留学生を士官とし、徴募する兵士にも、識字能力、体格、道徳その他一定の基準を設けた。辛亥(しんがい)革命当時までに13ないし14鎮建設され、そのうち袁世凱が掌握していた北洋新軍を中央軍、他を地方軍として清朝の支柱にしようとした。しかし、将兵に革命思想が浸透し、武昌(ぶしょう/ウーチャン)の新軍の蜂起(ほうき)が辛亥革命の発端となった。

[小島晋治]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「新軍」の解説

新軍(しんぐん)

清末に創建された洋式軍隊。清朝は日清戦争における旧式軍隊の壊滅にかんがみ,ドイツ人将校の指導のもとに,急ぎ洋式軍隊の編制と訓練を始めた。まず定武軍をつくり,ついで1895年12月,袁世凱(えんせいがい)を起用して新軍4営を練成させた。義和団事件の後,新軍は逐次増設され,清朝年末には全国に36鎮が編制,配置された。新軍の将校や兵士のなかには日本留学者や教育のある有為の青年が多く,彼らの革命化によって各地の新軍は辛亥(しんがい)革命の推進力となった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「新軍」の意味・わかりやすい解説

新軍
しんぐん
Xin-jun; Hsin-chün

中国,清末の洋式訓練を受け近代装備をもった軍隊。「新建陸軍」の略。日清戦争の敗北後,清朝は天津付近に駐屯して光緒 30 (1904) 年頃までに「北洋六鎮」といわれる6個師団を編成した。さらに 36個師団編成計画を立てたが,その精鋭の多くは袁世凱の編成になるもので,この武力が袁の政権掌握を可能ならしめた。また,華中,華南の新軍将兵のなかには革命を志向するものも多く,辛亥革命にあたって,各地で革命政権の樹立に貢献した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「新軍」の解説

新軍
しんぐん

清末に編成された近代的陸軍。新建陸軍の略称
日清戦争で従来の軍隊の無能が明らかになると,清朝は1895年,淮軍の一部を基礎に,天津郊外の小站 (しようたん) でドイツ式の近代軍隊の編成に着手。新軍編成の計画は全国的に続けられたが,袁世凱 (えんせいがい) の北洋新軍6鎮は最も早く編成され,彼の私兵としての北洋軍閥の母体となった。各省の新軍はその省の出身者で占められ,日本留学中に革命思想の洗礼を受けた将校も多く,武昌の新軍は1911年辛亥革命の口火を切った。

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百科事典マイペディア 「新軍」の意味・わかりやすい解説

新軍【しんぐん】

北洋軍閥

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世界大百科事典(旧版)内の新軍の言及

【辛亥革命】より

…しかも宣統年間(1909‐11)に入ると,米騒動,増税反対等の人民闘争のかつてない高まりが全国各地をおそった。半植民地化にともなう社会変動のきしみは,大量の流民・無産者を生み出し,新軍,会党につぎつぎと新しい血液を供給していた。革命派の清朝打倒のよびかけは,ほとんど社会の全階層からそれぞれに期待される革命情勢の高揚を生み出したのである。…

※「新軍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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