日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
日本体育・学校健康センター
にほんたいいくがっこうけんこうせんたー
1986年(昭和61)から2003年(平成15)まで「体育の振興と児童・生徒等の健康の保持増進を図る」(旧日本体育・学校健康センター法1条)ための事業を行う目的で組織された文部省、のちの文部科学省所管の特殊法人。前身は、戦後学校教育の充実のため設立された日本学校給食会(1955年)と日本学校安全会(1960年)が行政改革により再編統合された日本学校健康会(1982年)であったが、これに国立競技場がさらに統合され、日本体育・学校健康センターとなった。
学校安全については、学校安全会設立時に発足した災害共済給付制度の運営に中心的役割を担ってきた。対象となる教育機関は義務教育諸学校、高等学校、高等専門学校、幼稚園のほか保育所を含み、学校管理下の災害に対しては学校等設置者と保護者が負担する共済掛金を財源として医療費、障害・死亡見舞金が支給される。また学校安全・交通安全教育・学校保健に関する研修会開催、学校安全資料の作成・配布など調査研究を通じた学校安全の普及充実を行ってきた。学校給食についても、児童生徒等の食生活調査、食中毒防止手引き作成などのほか給食試食会などを通じた学校、家庭、地域の三者の連携推進に取り組んできた。近年これらの部門では、校内および登下校時の事件・事故の多発や、食育基本法制定の背景ともいわれる家庭における食生活の貧困化などの難題に直面している。
一方、スポーツ振興分野においては、発足以来スポーツの裾野の拡大、地域のスポーツ環境整備、国際水準の競技力向上に力を注いできた。とりわけスポーツ振興基金部を設置(1990年)するとともに、スポーツ関係予算の安定的財源として導入されたスポーツ振興投票(いわゆるサッカーくじ。1999年)の実施を担った。またスポーツ医・科学研究、スポーツ情報の収集・提供、科学的トレーニング法開発などの全国拠点として国立スポーツ科学センターを国立競技場内に設置した(2001年)。
しかし、その後特殊法人等の整理合理化計画に基づき、日本体育・学校健康センターは2003年(平成15)に設立された独立行政法人日本スポーツ振興センターに移行した。前者による上記の業務はほぼ後者に継承されている。
[宮﨑秀一]