早道(読み)ハヤミチ

デジタル大辞泉 「早道」の意味・読み・例文・類語

はや‐みち【早道】

目的場所へ早く行ける道。近道。「駅への早道
あまり手数をかけずに目的に達することができる簡便な方法。「語学上達の早道
早足で歩くこと。また、馬をはやく歩かせること。→地道じみち
「諸卒先へ行くゆゑに―に乗らざる時は乗りぬけ難し」〈常山紀談
飛脚
「一里一里に―二人づつ置き候ひて」〈太閤記・一三〉
銭入れ巾着きんちゃく
「―より一文放り出す」〈滑・膝栗毛・初〉
[類語]近道近回り裏街道裏通り裏道抜け道間道横道脇道枝道

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「早道」の意味・読み・例文・類語

はや‐みち【早道】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 目的の場所へ行くのに、他に比べて時間のかからない道。近道。
    1. [初出の実例]「若如其則捷径(ハヤミチ)造者でこそあらん」(出典:杜詩続翠抄(1439頃)一三)
  3. ある目的を達成するためのいくつかの方法のうち、時間や手数が他よりもかからない方法。近道。
    1. [初出の実例]「心を用ひて云ひ置いたる説どもを拾ひ取って心得るが、いっち捷径(ハヤミチ)でござる」(出典:志都の岩屋講本(1811)下)
  4. 足の速いこと。また、そのもの。
    1. [初出の実例]「人にはや道と云うて、四十里五十里行く者も有り」(出典:五輪書(1645頃)風の巻)
  5. 飛脚。〔羅葡日辞書(1595)〕
    1. [初出の実例]「一里々々に、はやみち二人づつおき候て」(出典:太閤記(1625)一三)
  6. 早足で歩くこと。また、馬術で、速い歩調で馬を歩ませること。また、その足並み。⇔地道(じみち)
    1. [初出の実例]「出てたに(ハヤミチ)ならん競馬かな〈友松軒〉」(出典:俳諧・雀子集(1662)三)
  7. 巾着(きんちゃく)。銭入れ。
    1. [初出の実例]「しづかなる杉を拝めば三輪の神〈路通〉 出し入やすきはやみちの銭〈曲水〉」(出典:俳諧・俳諧勧進牒(1691)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の早道の言及

【財布】より

…女性用の筥迫(はこせこ)には鏡・櫛・おしろいなどを入れることもあった。旅先ではすりから路銀を守るため,早道(はやみち)などと呼ぶ腰にさげる袋に入れて持ち歩いた。明治になって紙幣が発行(1869年に民部省札)され,二つ折り,三つ折りで使用する札入れが普及,初期には着物の胸もとの形を整わせるため分厚いものが好まれたが,洋服着用者の増加とともに形態も洋服用のものが多くなる。…

【袋物】より

…発火器としての燧袋は,匂袋(においぶくろ)とともに腰さげ袋として古くから用いられ,のち金銭や薬品を入れるようになり,鎌倉時代には巾着(きんちやく)の発生をみた。 貨幣経済の発達は金銭携行のための袋物を発達させ,江戸時代には早道(はやみち)(銭入れ,タバコ入れに用いる),胴乱,一つ提(さげ)(タバコ入れの一種で,きせる筒を離し,タバコ入れのみに緒などをつけた袋),藩札入れ,燕口(つばくらぐち)(口を開くとツバメの口のような形になる携帯用の袋)が用いられることになり,タバコの伝来に伴う喫煙の風習は半月,腰差,叭(かます),火の用心,袂落(たもとおとし)等のタバコ入れを生んだ。また,上下一般が鼻紙を用いるようになって懐中物の鼻紙袋ができ,これに鏡,ようじ,小銭を入れる仕掛けをつくって三徳ととなえ,女子の愛用するところとなり,筥迫(はこせこ)に近づいていった。…

※「早道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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