明清楽の横笛。明清楽は元来は明楽と清楽を併せた称だが,明楽は18世紀末に衰退したので,その後の明清楽は実は清楽である。明笛は原義では明楽の長短2種の横笛を指した。明笛に対して清笛の称もあったが,やがて混同され,日本では明治期に清楽つまり明清楽の笛を明笛と呼ぶのが一般化した。全長約67cmの竹製で,表面は樺巻(かばまき)せず,両端を象牙などで飾る。指孔は6孔。歌口と指孔の中間の響孔にはった竹紙が共鳴して,複雑な高次倍音を添え,音色を特徴づける。下端には数個の飾り孔があり,歌口が上端から離れているので,指孔全閉の最低音(1点ト)は全長のわりに高い。全閉から順次に開ければト,イ,ロ,ハ,ニ,ホ,ヘの音列となる。明治中期の明清楽衰退後も,単独使用楽器として大正期まで普及を続けたが,今では長崎の明清楽以外にはあまり見られない。
執筆者:上参郷 祐康
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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