日本大百科全書(ニッポニカ) 「明算」の意味・わかりやすい解説
明算
めいざん
(1021―1106)
平安末期の真言宗の僧。紀伊国(和歌山県)の人。1032年(長元5)高野山東室(こうやさんひがしむろ)で出家し、1040年(長久1)中院(ちゅういん)に移る。以後は各地で研鑽(けんさん)し、1072年(延久4)山城(やましろ)国(京都府)小野の曼荼羅寺(まんだらじ)成尊(せいそん)(1012―1074)から伝法灌頂(でんぽうかんじょう)を受けて小野流の奥義を究める。翌1073年、帰山し中院に入って法筵(ほうえん)を開くが受法者多く、これより中院流と称し高野山の主たる法流となり、彼は中院御房ともよばれた。高野山の復興に携わること16年、諸堂の再建や、諸法会(ほうえ)を初めておこすなど目覚ましい活動により、高野山中興の師と仰がれる。弟子にも名僧多く、中院流を継承した。
[平井宥慶 2017年10月19日]