易田(読み)エキデン

デジタル大辞泉 「易田」の意味・読み・例文・類語

えき‐でん【易田】

古代土地がやせていて、1年おきにしか耕作できなかった田地口分田として給される場合は、2倍の面積が与えられた。やくでん。

やく‐でん【易田】

えきでん(易田)

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精選版 日本国語大辞典 「易田」の意味・読み・例文・類語

えき‐でん【易田】

  1. 〘 名詞 〙 古代、地味がやせているため一年おきにしか耕作できない田。口分田として給付される場合は二倍の面積が与えられる。
    1. [初出の実例]「古記云。易田。謂一年作種。一年不種。所以倍給。合二年。分一年作種也」(出典令集解(701)田)

やく‐でん【易田】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、地味がやせて耕作に適さないため、一年おきにしか耕作できない田。えきでん。

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改訂新版 世界大百科事典 「易田」の意味・わかりやすい解説

易田 (えきでん)

中国古代の休閑耕作地で,易地,轅(えん)田,(えん)田などとも書かれる。《周礼(しゆらい)》大司徒に〈不易の地は家ごとに百畝,一易の地は二百畝,三易の地は三百畝〉とあるのをはじめ,《左氏伝》《国語》は晋が爰田轅田)を作ったことを伝え,《漢書地理志には秦の商鞅(しようおう)が轅田を制したという。中古の均田制においても支給する穀田が休耕を要するやせ地の場合は,一易なら倍給,再易なら3倍面積給与の規定であった。
執筆者:

律令体制下において1年おきの耕作にしかたえないと公認された劣悪田。〈やくでん〉ともよむ。大宝令・養老令田令の規定では,易田を口分田として班給する際には倍給する定めであった。ただし,実際に易田が口分田として班給されたことを示す史料上の初見は,平安時代初期の821年(弘仁12)で,この少し前あたりから特定の地域で,従来の口分田の中の特に劣悪な田を臨時的に易田と認定することが行われたらしい。したがって,律令体制の最盛期と目される奈良時代に易田が口分田として班給されたとは思えない。古代日本においてどれだけの必要性を認めてこの規定を設けたかは疑問で,母法たる唐令の田令に見られる易田・三易田(3年1耕の田)の規定を易田に一本化して採用したにとどまるとみるべきであろう。
執筆者:

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普及版 字通 「易田」の読み・字形・画数・意味

【易田】えきでん

休耕する田。〔漢書、食貨志上〕ごとに種するを、不易上田と爲し、一を休するを、一易中田と爲し、二を休するを、再易下田と爲す。

字通「易」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「易田」の意味・わかりやすい解説

易田
えきでん

平安時代,土地がやせているため1年もしくは何年か休耕して地味を養う必要のある田。令制では班田にあたって,易田の場合は普通の田の2倍の面積を支給し,その2分の1の租を徴収する規定であった。しかしのちの『延喜式』では,不輸租田となっている。

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世界大百科事典(旧版)内の易田の言及

【易田】より

…〈やくでん〉ともよむ。大宝令・養老令の田令の規定では,易田を口分田として班給する際には倍給する定めであった。ただし,実際に易田が口分田として班給されたことを示す史料上の初見は,平安時代初期の821年(弘仁12)で,この少し前あたりから特定の地域で,従来の口分田の中の特に劣悪な田を臨時的に易田と認定することが行われたらしい。…

※「易田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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