星の王子さま(読み)ほしのおうじさま(英語表記)Le Petit Prince

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「星の王子さま」の解説

星の王子さま
ほしのおうじさま
Le Petit Prince

フランスの作家アントアーヌ・ド・サン=テグジュペリの作品。中世以来の名家,伯爵家の長男として,フランス第2の都市リヨンに生まれたサン=テグジュペリは 12歳で初めて飛行機に乗って以来,飛行機に魅せられ,いくつかの職を経て,1926年に民間航空会社に入社,トゥールーズ~カサブランカ,カサブランカ~ダカール間の定期郵便飛行のパイロットとなる。『星の王子さま』の舞台,サハラ砂漠と彼は,こうして出会った。また,作品中のバラのモデルとされているサンサルバドル出身のコンスエロ・スンシンと 1931年に結婚。1941年1月から 2年半,アメリカ合衆国へ亡命する。この作品は 1942年5月から翌年の 1月にかけて書かれ,その 4月出版された。物語は砂漠に不時着した郵便飛行のパイロットが不思議な少年に出会い,その少年がひとり言のように話す言葉の中から,彼はある小さな星の王子で,バラとの不和が原因で星を離れ,いろいろな星を旅したあと,地球にやってきたことを知る。また,彼は地球で友達になったキツネから「絆を創造する créer des liens」という表現を学ぶ。彼の哀愁にみちた人生を知ったパイロットとの間に「絆」が生まれるが,パイロットを一人残し王子は星に帰って行く。この作品を発表後,サン=テグジュペリは戦線復帰を望んでアメリカを去り,アルジェで 33-2飛行大隊に所属,1944年7月31日,コルシカ島から偵察飛行に出たまま消息を絶った。

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日本大百科全書(ニッポニカ)「星の王子さま」の解説

星の王子さま
ほしのおうじさま
Le Petit Prince

フランスの小説家アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリ童話。1943年刊。サハラ砂漠に不時着した飛行士が、別の星の王子に出会う。王子はヒツジとバラと暮らしていたが、バラがあまり怒りっぽいので、そこを去って、宇宙漫遊に出かけた。いろいろな星がある。王さまがいばっている星、自慢家の住む星、のんべえの星、お金の計算ばかりしている実業家の星、機械的な仕事にばかり追われている人の星……。王子は「大人はみんな変人だ」と思うが、やがて賢いキツネに会い、このキツネは王子に「友だちになるということの味」を教えてくれた。「友だちになる」と、そのキツネは別のキツネになり、王子の星のバラも別のバラになる。結局、自分に愛情の足りなかったことを悟った王子は、ヘビに噛(か)んでもらって、死んで自分の星に帰る。遺体を飛行士のもとに残して。飛行士は王子の冒険と教訓を学ぶことによって、不時着という危機を切り抜ける勇気を獲得する……。荒涼たる愛の砂漠のなかで愛や生命や神秘の本質を忘れた現代人に、愛の純粋な姿とその悲劇を教える幻想と詩情にあふれる名作。

[榊原晃三]

『内藤濯訳『星の王子さま』(岩波少年文庫)』『内藤濯著『星の王子とわたし』(文春文庫)』

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精選版 日本国語大辞典「星の王子さま」の解説

ほしのおうじさま ほしのワウジさま【星の王子さま】

(原題Le Petit Prince 「小さな王子」の意) 童話。サン=テグジュペリ作。一九四三年刊。アフリカの砂漠に不時着した飛行士と、かわいらしい星の国の王子との対話の形で書かれ、童心を失わない目に映る美しい世界を描く。

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デジタル大辞泉「星の王子さま」の解説

ほしのおうじさま〔ほしのワウジさま〕【星の王子さま】

《原題、〈フランス〉Le Petit Princeサン=テグジュペリの童話。1943年刊。砂漠に不時着した飛行士とほかの星から来た王子との心の交流を、詩的な文体のうちにさまざまな寓意を交えて描く。

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世界大百科事典 第2版「星の王子さま」の解説

ほしのおうじさま【星の王子さま Petit Prince】

フランスの作家サンテグジュペリの童話。1943年刊。バラの花と仲たがいした王子が自分の星を離れて,大酒飲みの星,実業家の星などを歴訪し,7番目の星地球を訪ねて狐,蛇,鉄道のスイッチマンなどと知り合い,やがてバラの花が気がかりで自分の星に帰っていく。作者の終生のテーマだった人間の連帯と責任を〈かんじんなものは目では見えない〉といった名言に集約させて語っている。【神宮 輝夫】

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