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フランスの小説家アントアーヌ・ド・サン・テグジュペリの童話。1943年刊。サハラ砂漠に不時着した飛行士が、別の星の王子に出会う。王子はヒツジとバラと暮らしていたが、バラがあまり怒りっぽいので、そこを去って、宇宙漫遊に出かけた。いろいろな星がある。王さまがいばっている星、自慢家の住む星、のんべえの星、お金の計算ばかりしている実業家の星、機械的な仕事にばかり追われている人の星……。王子は「大人はみんな変人だ」と思うが、やがて賢いキツネに会い、このキツネは王子に「友だちになるということの意味」を教えてくれた。「友だちになる」と、そのキツネは別のキツネになり、王子の星のバラも別のバラになる。結局、自分に愛情の足りなかったことを悟った王子は、ヘビに噛(か)んでもらって、死んで自分の星に帰る。遺体を飛行士のもとに残して。飛行士は王子の冒険と教訓を学ぶことによって、不時着という危機を切り抜ける勇気を獲得する……。荒涼たる愛の砂漠のなかで愛や生命や神秘の本質を忘れた現代人に、愛の純粋な姿とその悲劇を教える幻想と詩情にあふれる名作。
[榊原晃三]
『内藤濯訳『星の王子さま』(岩波少年文庫)』▽『内藤濯著『星の王子とわたし』(文春文庫)』
フランスの作家サンテグジュペリの童話。1943年刊。バラの花と仲たがいした王子が自分の星を離れて,大酒飲みの星,実業家の星などを歴訪し,7番目の星地球を訪ねて狐,蛇,鉄道のスイッチマンなどと知り合い,やがてバラの花が気がかりで自分の星に帰っていく。作者の終生のテーマだった人間の連帯と責任を〈かんじんなものは目では見えない〉といった名言に集約させて語っている。
執筆者:神宮 輝夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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