新年になって初めて筆墨を用いて字を書くことで,1月2日に行うことが多い。仕事始め・稽古始めの一つである。神棚や菅原道真の画像の前でめでたい文言を書いて年神棚などに納め,字の上達を願うものであるが,かつて子どもたちはその字を小正月の左義長などと呼ばれる火祭の際に燃やし,紙片の高く舞い上がるほど手があがるといって喜び,火祭行事をいっそう印象深いものにした。宮中や一部文人たちの行事から一般に広く行われるようになったのは,寺子屋教育の普及と明治以降の学校での習字教育の発展が関与していると思われる。日常生活において毛筆を用いることが少なくなって,家庭内での書初めという習俗は薄れてきたが,多くの学童を一堂に集めて行う書初め大会などは,今なお盛んなものがある。
→吉書始(きっしょはじめ)
執筆者:田中 宣一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
吉書(きっしょ)とも初硯(はつすずり)ともいう。正月に初めて書や絵をかくこと。たいてい1月2日の行事としている。吉書は平安時代以来、公家・武家において、年始・改元など事が改まった機会に、吉日を選んで奏聞する儀礼文書のことであった。それが武家故実に取り入れられ、また江戸時代には寺子屋の盛行とともに民間行事にもなった。民間で受け入れるにあたっては、屋内作業の仕事始めのような感覚であったろう。若水(わかみず)で墨をすり、その年の恵方(えほう)に向かって毛筆で書く。これを小正月(こしょうがつ)まで長押(なげし)などに貼(は)っておき、小正月には持ち寄ってどんど焼の火で焼く。その燃えかけが空中に高くあがると「手があがる」(字が上手になる)といって喜ぶ風がある。
[井之口章次]
…竹を主材料に,円柱状,あるいは円錐形,方形などに組み,中心の心竹に,御幣に相当する飾りや縁起物を付け,それを,すす払いに出た前年のお札や,4日か7日にさげた門松や正月飾と一緒に焼く。この火で餅やだんごを焼いて食べると無病息災であるとか,書初め(かきぞめ)を焼いて高く飛ぶと手が上がるとかいう。本来は,供物を焼きあげ,新年の祈願をささげる行事らしい。…
※「書初め」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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