中国の劇作家。天津(てんしん)生まれ、湖北省潜江(せんこう)県出身。本名万家宝。1933年清華大学西洋文学科卒業。南開中学時代からアマチュアの南開新劇団に参加。南開、清華両大学時代にシェークスピア、イプセン、チェーホフ、ゴーリキー、オニールらの戯曲を読み影響を受けた。処女作『雷雨』(1933)は複雑なプロット、含蓄に富み洗練され個性化された台詞(せりふ)によって、中国新劇界に影響を与えた。ほかに『日の出』(1935)、『北京人(ペキンじん)』(1941)、『王昭君』(1979)などがあり、『雷雨』は1957年(昭和32)日本、59年ソ連、63年アルバニアで上演され、日本ではさらに『日の出』『原野』『蛻変(ぜいへん)』『明るい空』が民芸、稲の会等により上演された。中華人民共和国成立後は北京人民芸術劇院長、中国戯劇家協会主席を務め、中国新劇の充実発展に尽くした。『曹禺全集・7巻』が出版されている(1996・河北省花山文芸出版社)。「曹禺戯劇文学奨」が設けられており、湖北省潜江市には「曹禺陵園」がある。
[中野淳子]
『松枝茂夫訳『中国現代文学選集6 老舎・曹禺篇』(1962・平凡社)』▽『小野忍著『現代の中国文学』(1958・毎日新聞社)』▽『黎波著『中国の名著』(1961・勁草書房)』
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…しかし,こうした左翼文学運動には党員のセクト的傾向が終始つきまとい,いわゆる〈自由人〉や〈第三種人〉を標榜するリベラルな文学者をおしなべて〈敵〉として攻撃・排除したことで,みずから戦線を狭くしていったことも認めなければならない。 この時期はまた,茅盾(ぼうじゆん),老舎,巴金,丁玲,曹禺など,のちの中国文学を担う文学者たちが,つぎつぎと世に出た時代であった。なかでも茅盾《子夜》(1931),巴金《家》(1930),李劼人(りかつじん)《死水微瀾》,老舎《駱駝の祥子》(1937)などは,中国文学が世界に通用する本格的ロマンを持ち始めたことを示した。…
…中国の新劇作品。曹禺の処女作。1934年《文学季刊》に発表された。…
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