コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

民族資本 みんぞくしほんnational capital

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

民族資本
みんぞくしほん
national capital

外国資本 foreign capitalに対する言葉で自国資本を意味するが,特に発展途上国土着資本をさす場合が多い。発展途上国の多くは,かつて資本主義列強の植民地であり,政治的独立後も経済的には,多国籍企業を中心とする外国資本に支配されてきた。外資系企業は発展途上国の社会・経済的要求よりも,本国である先進工業国の要求を優先させた形で経済開発を行なったために,発展途上国の内部では一部の輸出部門のみの肥大化や農村の荒廃,食糧不足の深刻化などの問題が生じた。このためかつては経済開発推進のために積極的な外資導入策をとった発展途上国も,自国経済に深く介入する外国資本は自立的経済発展にとっての障害であると認識するにいたり,外資系企業の国有化やその事業への参加などを通じて,経済の民族化を進めるようになった。民族資本はこうした経済ナショナリズムの主体である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

みんぞく‐しほん【民族資本】

植民地・半植民地従属国で、外国資本に対抗するその民族の資本。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

百科事典マイペディアの解説

民族資本【みんぞくしほん】

植民地,半植民地,従属国で,本国資本や外国資本と対抗する土着資本。第2次大戦以前の植民地独立運動を担った中国やインドの財閥に代表されるが,今日では発展途上国における自立的資本を指す。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

みんぞくしほん【民族資本】

植民地,従属国の政治的・経済的自立を導く現地土着資本のこと。それは,経済的従属地で活動する外国資本の圧力に対抗する役割を担うものであり,外国資本と癒着した買辧資本(買辦)と区別される。もともと,19世紀末から第2次大戦までの植民地独立運動の担い手として論じられてきたが,今日では一般的に,外国資本に支配されず,国内市場を活動の場とする発展途上国の自立的な資本家層を指した総称になっている。しかし歴史学上の概念としては,依然として民族解放闘争を担う資本家という狭義の使われ方をしている。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

みんぞくしほん【民族資本】

植民地・半植民地・発展途上国などにおいて、外来資本に対抗する現地の民族による資本。 → 買弁資本

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

民族資本
みんぞくしほん
native capital

植民地や従属国における土着の資本で、外国資本や植民地支配と対抗的性格をもつものをいい、独立運動において果たす役割をめぐって注目されてきた。中国においては、19世紀後半以降とくに20世紀に入ってから民族的企業の発展が著しく、第一次世界大戦期から直後にかけては、市場条件の好転もあって、民族的企業の「黄金時代」を迎えた。インドでも、19世紀後半から綿工業を中心としてインド人の資本による工業が発展した。第一次世界大戦後は、選択的保護政策の効果もあって、綿工業、鉄鋼業や製糖業などを中心としてインド資本による工業はいっそう発展し、彼らは、独立によって国家の政策を左右しうる地位を獲得した。これら民族資本について注目されることは、第一に、そのかなりの部分は、かつて植民地支配と結び付いて発展した商業資本であったが、工業に進出してゆくなかで国内市場をめぐって外国資本や植民地支配と対立するようになっていったこと、第二に、こうした民族資本の発展は、大衆的な民族運動の発展と相互に関連していたこと、である。
 民族資本の多くは、一方で、多かれ少なかれ前近代的農村社会の存在、あるいはそこから流出する低賃金労働力を蓄積の基盤とし、他方で、植民地下で形成されたゆがんだ経済構造から利益を引き出すことも少なくなかった。そのため、民族資本は、徹底した社会的変革を起点とする自立的国民経済の建設を推進することはむずかしく、政治的、経済的な独立の達成という点でも、大きな問題を残さざるをえなかった。[柳沢 悠]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

民族資本の関連キーワード民族ブルジョアジー抗日民族統一戦線ジャムシェドプル中国民主建国会人民内部の矛盾出光興産[株]産業防衛闘争利権回収運動スワデーシー愛国啓蒙運動政治協商会議バルマセダ朝鮮会社令パールシームブジマイトルコ革命高麗大学校コスモ石油石油業法出光佐三

今日のキーワード

隗より始めよ

《中国の戦国時代、郭隗(かくかい)が燕(えん)の昭王に賢者の求め方を問われて、賢者を招きたければ、まず凡庸な私を重く用いよ、そうすれば自分よりすぐれた人物が自然に集まってくる、と答えたという「戦国策」...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android