雷雨(読み)ライウ

デジタル大辞泉 「雷雨」の意味・読み・例文・類語

らい‐う【雷雨】

かみなりを伴う激しい雨。 夏》
[類語]暴風雨雨天荒天悪天雨空梅雨空雨降り雨催い雨模様遣らずの雨降雨一雨お湿り慈雨山雨小雨涙雨微雨細雨煙雨霧雨糠雨小糠雨大雨・どか雨・篠突く雨風雨豪雨強雨にわか雨通り雨村雨驟雨夕立白雨スコール照り降り雨日照り雨天気雨狐の嫁入り春雨はるさめ春雨しゅんう卯の花腐し五月雨さみだれ五月雨さつきあめ地雨長雨淫雨霖雨涼雨秋霖秋雨時雨初時雨村時雨氷雨冷雨雨氷酸性雨

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精選版 日本国語大辞典 「雷雨」の意味・読み・例文・類語

らい‐う【雷雨】

  1. 〘 名詞 〙 雷雲によって生じ、電光・雷鳴・突風などを伴った雨。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「雷雨、神祇官屋災、往々人畜震死」(出典:続日本紀‐天平二年(730)六月壬午)
    2. [その他の文献]〔易経‐解卦〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雷雨」の意味・わかりやすい解説

雷雨(風雨現象)
らいう
thunderstorm

電光や雷鳴を伴う風雨現象。強い上昇気流によって生じた積乱雲(雷雲)に伴っておこる。強い上昇気流をおこす原因の違いによって熱雷、界雷、渦雷(からい)の呼び名があるが、実際にはこれらの原因が複合する場合が多い。

(1)熱雷 夏季の日射によって地面が強く熱せられると同時に、上空に寒冷な空気が流入すると、下層の空気は強い浮力を与えられて上昇する。

(2)界雷 寒冷前線の突入によって暖気が急激に上空に押し上げられる。

(3)渦雷 低気圧や台風では風が周辺から吹き込むので中心部で上昇気流となる。

 雷雨の大きさは普通、水平方向に数十キロメートル、鉛直方向には対流圏の頂部(圏界面という。高度は10~15キロメートル)に達する。この高度での気温は零下20℃以下であるから雲粒は氷結している。積乱雲の後部では激しい降雨に引きずられて冷気が下降し、雷雨時によく経験される一陣の冷風となる。またこのため雲の下に冷気塊がたまるので、局所的な高気圧部ができる。これが雷雨の通過時には一時的な気圧の急上昇となり、自記紙上に鼻の形に似た曲線を描くので、これを「雷雨の鼻」という。

 関東地方の夏季には北西の山岳部に熱雷が発生し、南東に進行するのが普通である。これは、積乱雲の下にできた冷気塊が地形の影響を受けて川沿いに進むためと考えられている。移動速度は普通毎時20~40キロメートルであるが、ときとして毎時50キロメートルを超えることもある。界雷は寒冷前線に沿って何個も発生するので、全体としてみれば熱帯より広い幅にわたり、数百キロメートルも進行する。

 雹(ひょう)も雷雨に特有な現象で、とくに春雷に多い。直径数センチメートルの氷の塊で、農作物に大きな被害をもたらす。落雷のほかのもう一つの雷災である。

[三崎方郎]

『高橋劭著『雲の物理――雲粒形成から雲運動まで』(1987・東京堂出版)』『小倉義光著『お天気の科学――気象災害から身を守るために』(1994・森北出版)』『小倉義光著『メソ気象の基礎理論』(1997・東京大学出版会)』『北川信一郎著『雷と雷雲の科学――雷から身を守るには』(2001・森北出版)』『大野久雄著『雷雨とメソ気象』(2001・東京堂出版)』


雷雨(オストロフスキーの戯曲)
らいう
Гроза/Groza

ロシア劇作家A・N・オストロフスキーの五幕戯曲。1859年作。夢見がちな乙女カテリーナは、見ず知らずの男のもとに嫁ぎ、因習と頑迷に凝り固まった婚家で姑(しゅうとめ)の叱責と面罵(めんば)に耐えながら、愛のない夫に心のよりどころをみいだすことができず、恋人にかけた期待も裏切られ、絶望の果てにボルガ川に身を投げて死ぬ。作者は、この女主人公を自殺にまで追いやった偽善、迷信、残忍なロシア社会を、深い真実と詩情のなかに描き出し、激しい憤りを込めて告発している。

[野崎韶夫]

『米川正夫訳『雷雨』(『ロシア文学全集35』所収・1959・修道社)』

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百科事典マイペディア 「雷雨」の意味・わかりやすい解説

雷雨【らいう】

雷鳴電光を伴って降る雨。夏の強い日ざしにより発生する熱雷,前線付近に発生する界雷,低気圧や台風などに関係する渦雷(うずらい)がある。強い上昇流によって成長した大粒の雨や時にはひょうが降ることがある。一般に大きな速度で移動し,熱雷の場合は毎時30〜40km,渦雷の場合はそれ以上の速さで通過する。→雷雨の鼻
→関連項目驟雨夕立

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普及版 字通 「雷雨」の読み・字形・画数・意味

【雷雨】らいう

雷を伴う雨。〔書、典〕百揆(き)にるれば、百揆時(こ)れ敍(の)ぶ。四門にせしむれば、四門穆穆(ぼくぼく)たり。大麓るれば、烈風雷雨にもはず。

字通「雷」の項目を見る

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改訂新版 世界大百科事典 「雷雨」の意味・わかりやすい解説

雷雨 (らいう)
Léi yǔ

中国の新劇作品。曹禺の処女作。1934年《文学季刊》に発表された。国際的レベルに達した最初のものと評価される。鉱山事業主の家族と30年前にすてた妻子など8人の登場人物が織りなす,変則的恋愛,労働争議を運命的悲劇と社会変動の縮図として表現した。その人物描写の鮮明さ,筋の曲折,対話の妙で空前の人気を博したが,国民党に禁演命令も受けた。35年,日本でも上演された。解放後の演出では,階級闘争の面が強調される。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雷雨」の意味・わかりやすい解説

雷雨
らいう
Groza

ロシアの劇作家 A.オストロフスキーの戯曲。5幕。 1859年 11月 16日モスクワのマールイ劇場初演。ボルガ川河畔のカリーノフカという小さな町を舞台に,19世紀頃のロシアの商人階級の閉ざされた生活の悲劇を描いた作品。

雷雨
らいう

」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の雷雨の言及

【雷】より

…雷雲の高さを地表からの距離で表すと,緯度と季節でまちまちになるが,高さをそのレベルの気温で表すと,雷雲は共通して-20℃あるいはさらに気温の低い上層まで発達している。
[雷雲の構造,雷雨細胞]
 雷雲は雷雨細胞(雷雨セル)thunderstorm cellからなる雲の集団であり,単位となっている細胞は,上昇と下降の気流の対からなる直径3~5kmの対流雲で,幼年期,成年期,老年期という経過をたどる寿命45分程度のきわめて短命の気象現象である。幼年期の雲は,多量に水蒸気を含む下層大気の上昇でつくられ,成年期では上昇気流がいっそう強まり,雲の上部に大粒のひょうが形成され,その激しい落下運動にひきずられて下降気流が生じ,図1に示す上昇,下降の気流の対ができる。…

【曹禺】より

…清華大学ではギリシア悲劇など西欧古典戯曲を研究。在学中に創作した《雷雨》(1933)によって劇壇から認められ,つづく《日出》《原野》等の諸作品によって中国近代劇を確立した。その周到な劇的構成と精錬された詩的対話は,他の追随をゆるさない。…

※「雷雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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