シューベルトが1822年に作曲した交響曲第八番ロ短調(D759)のこと。第1、第2楽章のみ完成し、第三楽章の草稿の段階で作曲が中断していることから「未完成」の名がある。未完となった理由については多くの説があるが、完成した二つの楽章が形式的、情緒的にきわめて近い関係にあり、それだけで一つの完結した世界を形成しているために、作曲者はそのあとを続ける必要を感じなかったのではないかとする考えが一般的である。未完であること以上にこの作品の名を高めているのは、旋律、和声、楽曲の構成法などに、当時としては異例なほどのロマン的情緒が盛り込まれていることで、シューベルトが独自の境地に到達した最初の交響曲ともいわれ、後世に与えた影響は大きい。作曲者の死(1828)後の1865年に楽譜が発見され、その年ウィーンで初演された。なお、近年ではこの交響曲を第七番とする説も行われている。
[三宅幸夫]
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…管弦楽で演奏される多楽章形式の大規模な器楽曲。管弦楽のためのソナタであるが,ソロやアンサンブルのソナタよりもいっそう堅固な構成力と大曲としての風格が要求される。1800年前後,典型的な楽章構成はベートーベンにみられる。すなわち,2管編成(管楽器各2,ティンパニ,弦5部。総勢20名以上,概して50名前後)で,急・緩・舞曲・急という4楽章構成をとる。第1楽章はソナタ形式,第2楽章は2部ないし3部形式,変奏形式,ソナタ形式,第3楽章はメヌエットまたはスケルツォ,3部形式,第4楽章はロンド形式またはソナタ形式,さらに両者の混合形式である。…
…1820年ころには彼のまわりに多くの芸術家や愛好者が集まり,彼の新作を聞くための〈シューベルティアーデ〉ができた。22年にはシュタイアーマルクの音楽協会の名誉会員に推挙されたが,その返礼として《未完成交響曲》を作曲した。翌23年は特に実りの多い年で,リート《美しき水車小屋の娘》のほか,ロマンティック劇《ロザムンデ》,ピアノ独奏曲《楽興の時》等を作曲し,ピアノ曲や劇音楽にも新境地を開いた。…
※「未完成交響曲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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