本屋大賞(読み)ホンヤタイショウ

デジタル大辞泉 「本屋大賞」の意味・読み・例文・類語

ほんや‐たいしょう〔‐タイシヤウ〕【本屋大賞】

新刊書を扱う全国書店員が、もっとも客に薦めたいと思う小説投票で選ぶ文学賞。投票資格をもつのは、アルバイトを含む現役の書店員のみ。第1回は平成16年(2004)。
[補説]受賞作一覧
平成16年(2004)「博士の愛した数式小川洋子
平成17年(2005)「夜のピクニック恩田陸
平成18年(2006)「東京タワー オカンとボクと、時々、オトンリリー・フランキー
平成19年(2007)「一瞬の風になれ」佐藤多佳子
平成20年(2008)「ゴールデンスランバー伊坂幸太郎
平成21年(2009)「告白」湊かなえ
平成22年(2010)「天地明察冲方丁うぶかたとう
平成23年(2011)「謎解きディナーのあとで」東川篤哉とくや
平成24年(2012)「舟を編む」三浦しをん
平成25年(2013)「海賊とよばれた男」百田ひゃくた尚樹
平成26年(2014)「村上海賊の娘」和田りょう
平成27年(2015)「鹿の王」上橋菜穂子
平成28年(2016)「羊と鋼の森」宮下奈都なつ
平成29年(2017)「蜜蜂遠雷恩田陸
平成30年(2018)「かがみの孤城辻村深月
平成31年(2019)「そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ
令和2年(2020)「流浪の月」凪良なぎらゆう
令和3年(2021)「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ
令和4年(2022)「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬あいさかとうま
令和5年(2023)「汝、星のごとく」凪良ゆう
令和6年(2024)「成瀬天下を取りにいく」宮島未奈

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「本屋大賞」の意味・わかりやすい解説

本屋大賞
ほんやたいしょう

毎年1回、新刊を扱う書店(オンライン書店を含む)の店員(パート、アルバイトを含む)が、おもしろかった本、客に推薦したい本、自分の店で売りたい本を投票して決める賞。主催は書店員の有志からなる本屋大賞実行委員会で、出版業界を現場から盛り上げることを目的として設けられた。本屋大賞、翻訳小説部門、発掘部門がある。毎年、投票を12月(第1回、第2回は10月、第3回から第16回までは11月)から受け付け、翌年4月に集計し、受賞作を発表する。本屋大賞は日本の小説が対象で、上位10作品を選び、順位とともに発表する。翻訳小説部門は翻訳された海外の小説から上位3作品が発表される。これら2部門は過去1年間に刊行された作品が選考対象となる。また、発掘部門は、ジャンルを問わず時代を超えて残る本やなんども読み返したくなる本を書店員が投票(1人1作品)し、それらの作品を一覧にして発表する。

 出版市場の縮小が懸念されるなか、2004年(平成16)4月に第1回の本屋大賞が発表された。初回以降、大賞を受賞した作品は増刷を重ねるロングセラーとなっている。読者として、また、同時に書店員としての立場からという新たな視点による選択は着実な販売実績につながっている。実行委員会は、本屋大賞の継続的開催を確実なものにし、また、書店員から提案される読書推進活動なども活発化させるために、2005年に特定非営利活動法人としての認可を受けた。

[編集部 2024年3月19日]

資料 本屋大賞受賞作


第1回(2004年)
 『博士の愛した数式』小川洋子
第2回(2005年)
 『夜のピクニック』恩田陸
第3回(2006年)
 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー
第4回(2007年)
 『一瞬の風になれ』佐藤多佳子
第5回(2008年)
 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
第6回(2009年)
 『告白』湊かなえ
第7回(2010年)
 『天地明察』冲方丁
第8回(2011年)
 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
第9回(2012年)
 『舟を編む』三浦しをん
第10回(2013年)
 『海賊とよばれた男』百田尚樹
第11回(2014年)
 『村上海賊の娘』和田竜
第12回(2015年)
 『鹿の王』上橋菜穂子
第13回(2016年)
 『羊と鋼の森』宮下奈都
第14回(2017年)
 『蜜蜂と遠雷』恩田陸
第15回(2018年)
 『かがみの孤城』辻村深月
第16回(2019年)
 『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ
第17回(2020年)
 『流浪の月』凪良ゆう
第18回(2021年)
 『52ヘルツのクジラたち』町田その子
第19回(2022年)
 『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
第20回(2023年)
 『汝、星のごとく』凪良ゆう

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知恵蔵 「本屋大賞」の解説

本屋大賞

正式名称は「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本 本屋大賞」。過去1年間に刊行された日本の小説の中から書店員が投票で選ぶ。出版市場が縮小傾向にある中、本と読者に最も近い書店員がお勧めの書籍の情報を発信して売り場からベストセラーを作ろうと、2004年にスタート。これまでの受賞作品には、小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社、04年)、リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社、06年)、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(新潮社、08年)、湊かなえ『告白』(双葉社、09年)などがあり、受賞後に増刷や映画・ドラマ化された作品も多い。
選考は2段階の投票で行う。投票資格を持つのは、新刊を扱う書店の書店員で、1000人以上が登録している。1次投票は、対象作品の中から「面白い」「薦めたい」「売りたい」と思った本を1人3作品選んで投票し、上位10作品を決める。その全作品を読んだ上で推薦理由を添えて2次投票を行い、大賞を選ぶ。2010年本屋大賞は、08年12月1日から09年11月30日の間に刊行された作品が対象。385人の投票により、ノミネート10作品が10年1月に発表された。大賞作品は4月に発表される。
運営は、書店員有志で組織するNPO法人本屋大賞実行委員会。本屋大賞の他に、ジャンルを問わず過去1年以上前に刊行された作品を対象とする「発掘部門」や特別企画の賞も設けており、本屋大賞と同時に発表する。

(原田英美  ライター / 2010年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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