李広利(読み)りこうり(その他表記)Lǐ Guǎng lì

精選版 日本国語大辞典 「李広利」の意味・読み・例文・類語

り‐こうり‥クヮウリ【李広利】

  1. 中国前漢の武将。妹は武帝李夫人。紀元前一〇四年に大宛遠征良馬を得るとともに、西域諸国を漢に服属させた功によって、海西侯に封じられた。のち、匈奴討伐に失敗して、捕えられ殺された。前九〇年没。

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改訂新版 世界大百科事典 「李広利」の意味・わかりやすい解説

李広利 (りこうり)
Lǐ Guǎng lì
生没年:?-前90

中国,前漢の将軍中山(河北省定県)の人。妹の李夫人が武帝の寵愛をうけて昌邑哀王を生んだために取り立てられ,弐師将軍となって大宛国(フェルガナ)に遠征。前102年(太初3)に大宛を下して西域諸国を服属せしめ,良馬多数を得て凱旋,その功によって海西侯に封ぜられた。その後は匈奴征伐に転じ,再三匈奴を討ったが利を得ず,功をあせった彼は前90年(征和3)に匈奴の地深く攻め入ったために捕らえられ,殺された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「李広利」の意味・わかりやすい解説

李広利
りこうり
(?―前90)

中国、前漢の武将。妹の李夫人が武帝に寵愛(ちょうあい)され昌邑哀(しょうゆうあい)王を産んだ。その縁で紀元前104年、大宛(だいえん)国(フェルガナ)弐師(じし)城の良馬奪取の命を受け、弐師将軍の称号を与えられた。最初の遠征は、糧食が尽き敦煌(とんこう)に戻ったが、再度命令を受け、大軍を率い大宛城を包囲し、40日にしてこれを陥れ、良馬多数を得た。さらに康居などの西域(せいいき)諸国もこの遠征の結果漢に服属した。この功績により海西侯に封ぜられた。その後、前99年、前97年の2回匈奴(きょうど)討伐に向かったが、さしたる功を収められず、前90年の3回目の匈奴遠征中、妻子巫蠱(ふこ)の獄に連座した。彼はその罪を償うため軍功をあげようと、匈奴の敵地深く攻め入ったが敗北して捕らえられ、殺された。

[飯尾秀幸]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「李広利」の意味・わかりやすい解説

李広利
りこうり
Li Guang-li; Li Kuang-li

[生]?
[没]征和3(前90)
中国,前漢の武将。中山 (河北省定県) の人。妹は武帝の李夫人。太初1 (前 104) 年弐師 (にし) 将軍として,西域の大宛弐師城にいたり,善馬を取ることを命じられ,遠征におもむいたが果せず,敦煌に引返して兵の中止を上言した。しかし許されず,再び大宛を討ち,四十余日国都を包囲したのち,これをくだした。この結果康居,烏孫も漢に服属し,その功により海西侯に封じられた。征和3 (前 90) 年大軍を率いて匈奴に攻め入ったが敗北し,捕えられて殺された。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「李広利」の解説

李広利(りこうり)
Li Guangli

?~前89

前漢代の武人。太初元年(前104),貳師(じし)将軍となり,善馬の獲得をめざして大宛(だいえん)(フェルガナ)を征討するが失敗,2年後に再遠征して漢の支配下に置く。征和3年(前90)には,匈奴(きょうど)との戦闘に敗れて投降単于(ぜんう)に重用されるが,讒言(ざんげん)にあって殺害された。

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旺文社世界史事典 三訂版 「李広利」の解説

李 広利
りこうり

?〜前88
前漢の武将
妹の李夫人が武帝の寵を得たのに伴い,彼も用いられ,帝の命で前104〜前102年西域の大宛国(フェルガナ)を攻め,国都を陥落させた。さらに康居・烏孫 (うそん) などを従え,漢の西域発展に寄与。妹の子を皇太子にたてようとして失敗し,前90年匈奴 (きようど) を攻めたが,逆に捕らえられて殺された。

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世界大百科事典(旧版)内の李広利の言及

【汗血馬】より

…中国では古来名馬を天馬と称しているが,《史記》の大宛列伝によると,〈はじめ烏孫の馬を天馬と名づけたが,大宛の汗血馬を得てみるといっそうたくましく,そこで大宛の馬を天馬と称し,烏孫の馬を西極(せいきよく)と改めた〉と記されている。前104年(太初1),武帝が李広利に弐師(じし)将軍を名のらせて大宛征伐を敢行したのは,汗血馬を獲得するためであった。李広利は2度目の遠征で良馬数十頭に中馬以下3000余頭を得て凱旋すると,武帝は〈西極天馬の歌〉をつくらせたといわれる。…

※「李広利」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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