出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国で他人に危害を与えるために行われた呪術。甲骨文にすでに蠱(,)の字があり,虫(ちゆう)(蛇の類)が器中にいるのをかたどる。外から及ぼされる祟りを意味したらしい。後世の説明であるが,器の中に多くの蛇を入れておくと互いに喰い合う。最後に残った1匹には大きな呪力があり,それを用いて他人に害を与えられるとされた。日本のつきものと同様に,蠱をあつかう家すじがあると考えられたらしく,《捜神記》には,蠱を行う家にとついだ嫁が知らずに缸(かめ)の中の大蛇を殺したところ,その家は死に絶えたとある。こうした蛇を用いる呪術は後世までとくに江南地方に盛んであったが,蠱の語はより広く,必ずしも蛇を用いぬ呪術を指す場合もある。《春秋左氏伝》や《周礼(しゆらい)》にもそうした蠱毒のことが見え,とくに漢代に後宮で行われた人形(ひとがた)や嬰児の死骸などを用いた巫蠱や媚道は,政治史上の事件にまで発展した。こうした呪術は左道として厳禁され,発覚したときには関係者は極刑に処せられるのが例である。
→巫蠱の乱
執筆者:小南 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
※「巫蠱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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