東レ(読み)とうれ

共同通信ニュース用語解説 「東レ」の解説

東レ

1926年創立の大手繊維メーカー。衣料・産業用のナイロンポリエステルなど合成繊維が主力で、航空機に使われる炭素繊維に強みを持つ。樹脂、医薬・医療なども手掛ける。ユニクロと連携し保温効果の高い肌着「ヒートテック」などのヒット商品を生み出した。2017年3月期連結の売上高は2兆264億円、純利益は994億円。従業員は約4万6千人。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「東レ」の意味・わかりやすい解説

東レ(株)
とうれ

合成繊維のトップメーカー。1926年(大正15)三井物産の子会社東洋レーヨンとして設立。輸入機械と外国人技術者による独力運営でレーヨン糸を生産し、三井物産に販売を委託した。1936年(昭和11)スフ綿生産を開始、38年その製織も始める。また、東洋棉花(めんか)とともに1936年東洋絹織設立、ステープル事業に進出した。また、1934年レーヨン曹達(ソーダ)の設立、38年国策パルプ工業の設立参加などにより原料自給化を達成する。1941年、独自にナイロン紡出に成功する。第二次世界大戦後は1951年(昭和26)デュポン社の技術導入によりナイロン生産を開始、57年帝人と共同でICI社の技術導入によりテトロン生産を開始、またポリアクリル系などの開発に着手する一方で、レーヨンは62年から縮小する。プラスチックでは1960年独立の事業部門として製品の多様化を展開、さらに69年には石油化学工業に進出、また70年から社名を東レと改め、海外進出に備え、71年円切上げを機に海外事業を拡大、プラント・技術の輸出も進める。東レエンジニアリング、東レ・テキスタイルなど国内関係会社112社、海外関係会社126社、主要工場は滋賀、愛媛三島、名古屋ほか。資本金969億円(2008)、売上高5884億円(2008)。

[田付茉莉子]

『東レ株式会社編・刊『東レ50年史』(1977)』『日本経営史研究所編『東レ70年史 1926~1996』2冊(1997・東レ)』

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改訂新版 世界大百科事典 「東レ」の意味・わかりやすい解説

東レ[株] (とうレ)

合成繊維生産の最大手。三井グループの有力企業。1926年,三井物産の出資により東洋レーヨン(株)として設立されたのに始まる。翌27年にレーヨン糸の製造を開始,37年には生産高1万8200t(全国生産の12%)とピークに達し,輸出も増大した。第2次大戦後は,レーヨン生産の復興にあたるとともに,戦争で中断していたナイロンの研究開発を再開,51年にアメリカのデュポン社からの技術導入で本格生産を開始し,このナイロン生産が躍進の基盤となった。57年には帝人とともに,イギリスICI社からポリエステル繊維生産の独占的ライセンスを取得し,翌年から〈テトロン〉の商品名で生産を開始した。64年には独自の技術でポリアクリロニトリル繊維〈トレロン〉生産の企業化に成功した。現在,テトロン,ナイロン,トレロンの三大合繊が東レの売上げの中心となっている。人工皮革〈エクセーヌ〉や炭素繊維のような新素材の開発にも実績がある。また非繊維部門では,プラスチック事業が合成繊維につぐ第2の基幹事業となっている。事業の多角化が進むにつれ従来の社名が企業の実態に合わなくなってきたため,70年に現社名に改称した。最近は医薬などバイオテクノロジーの分野にも力を入れている。海外進出にも積極的。売上構成は繊維43%,プラスチック・ケミカル23%,情報通信材料・機器16%,環境・エンジニアリング9%,炭素繊維複合材料4%など(2005年3月期)。資本金969億円(2005年9月),売上高1兆2986億円(2005年3月期)。
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百科事典マイペディア 「東レ」の意味・わかりやすい解説

東レ[株]【とうレ】

1926年三井物産の出資で東洋レーヨン設立,1970年現社名。戦前のレーヨン生産から,戦後いち早くナイロンを企業化,ポリエステル繊維,アクリル繊維などにも進出,日本最大の合成繊維企業となった。ほかに人工皮革,炭素繊維,ポリエステルフィルムを生産,医療分野も開拓。海外にも積極展開。本社東京,工場滋賀,愛媛,三島,名古屋ほか。2011年資本金1478億円,2011年3月期売上高1兆5396億円。売上構成(%)は,繊維38,プラ・ケミ25,情報通信17,炭素繊維4,環境・エンジ12,ライフサイエンス他4。海外売上比率44%。
→関連項目蝶理[株]三井財閥

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東レ」の意味・わかりやすい解説

東レ
とうレ
Toray Industries, Inc.

合成繊維メーカー。1926年旧三井物産の出資により東洋レーヨン設立,1951年アメリカ合衆国のデュポンからナイロンの技術を導入。1957年帝国人造絹絲(→帝人)とともにイギリスのインペリアル・ケミカル・インダストリーズ ICIからポリエステル繊維およびポリエステルフィルムの技術を導入,共同で商標名を「テトロン」とする。1970年現社名に変更。2006年ユニクロ(→ファーストリテイリング)と衣料品素材の開発や市場開拓で提携。ナイロン,ポリエステル,アクリルの三大合繊のほかプラスチックなどの高分子化学,医薬,情報,環境分野まで幅広く事業を展開。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「東レ」の解説

東レ

正式社名「東レ株式会社」。英文社名「TORAY INDUSTRIES, INC.」。繊維製品製造業。大正15年(1926)「東洋レーヨン株式会社」設立。昭和45年(1970)現在の社名に変更。本社は東京都中央区日本橋室町。合成繊維会社。炭素繊維のシェア世界トップクラス。高機能フィルム・生分解性樹脂・電子材料など先端材料に多角展開。東京証券取引所第1部上場。証券コード3402。

出典 講談社日本の企業がわかる事典2014-2015について 情報

世界大百科事典(旧版)内の東レの言及

【化学繊維】より

…初期のレーヨン糸は羽織の紐や菓子箱の房等,耐水性を必要としない装飾的用途に向けられた。一方,東京帝大工科大学応用化学科を卒業後鈴木商店系の東レザーの技師長としてレザーの研究・改良に従事していた久村清太は,やがてビスコースの将来に注目し,学友で米沢高等工業学校講師の秦逸三と協力してビスコース応用品として有望なレーヨン糸の研究を始め,1915年には鈴木商店の番頭金子直吉の援助を得て,東レザー分工場米沢人造絹糸製造所を設立した。この製造所は折からの第1次大戦による輸入の途絶に助けられて生産を伸ばし,18年には資本金100万円(25万円払込み)の帝国人造絹糸(現,帝人)に発展した。…

【繊維工業】より


[レーヨン工業の発達]
 大戦中に蓄積された資本の第3の投下先はレーヨン工業(〈レーヨン〉の項参照)の分野であった。日本におけるレーヨン糸製造は1916年,米沢の鈴木商店系の東レザー(翌年,東工業と改称)の分工場,米沢人造絹糸製造所において始まった。18年同製造所は帝国人造絹糸(現,帝人)として独立した。…

※「東レ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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