東京市場(2006年)(読み)とうきょうしじょう/2006ねんのとうきょうしじょう/にせんろくねんのとうきょうしじょう

知恵蔵 「東京市場(2006年)」の解説

東京市場(2006年)

2005年には景気回復基調に支えられて活況を呈した株式市場だが、06年に入るとすぐにライブドアショックに見舞われた。新興市場の中核的な銘柄の1つであったライブドア・堀江貴文前社長の逮捕を契機に、中小型株市場では株価が下落する銘柄が相次いだ。これがネット投資家を中心とした個人投資家に大きな打撃を与えることになった。 海外では、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ懸念から利上げを継続し、これが米国の景気にも影を落とし始めた。日本では、ゼロ金利政策が解除され、年内の追加利上げの可能性が取りざたされている。欧州でも、インフレ懸念から金融は引き締め傾向にあり、世界的に金融緩和による過剰流動性に支えられた株式の活況が終わりつつあると言えそうだ。 日本では、着実な景気回復が続いている。株価は05年のような需給に支えられた相場から、好調な企業業績を反映する相場に移行しつつある。このため、日経平均株価などの指標では一進一退に見えるが、着実に業績が拡大する企業の株式には評価が集まる傾向が顕著になっている。もう1つの注目材料は、王子製紙による北越製紙へのTOBなど、これまでにないM&Aの高まりであろう。日本企業は再生への長いトンネルを抜けて、新たな成長策を模索する段階に入ったと考えられる。これからは、個々の企業の価値に注目する「賢い投資家」の時代と言えそうだ。

(熊井泰明 証券アナリスト / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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