(読み)ヒ

デジタル大辞泉 「杼」の意味・読み・例文・類語

ひ【×杼/×梭】

織機の付属用具の一。横糸とする糸を巻いた管を、舟形胴部空所に収めたもの。端から糸を引き出しながら縦糸の間を左右にくぐらせる。シャトル

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精選版 日本国語大辞典 「杼」の意味・読み・例文・類語

ひ【杼・梭】

  1. 杼〈機織彙編〉
    杼〈機織彙編〉
  2. 〘 名詞 〙 機織用具の一つ。経(たていと)の開口した間を左右に飛走して緯(よこいと)入れを行なう。飛びやすいように流線形をしている。さす。さい。ひい。
    1. [初出の実例]「梭(ひ)に陰上(ほと)を衝きて死にき」(出典古事記(712)上)

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普及版 字通 「杼」の読み・字形・画数・意味


8画

[字音] ジョ・ジョ(ヂョ)・チョ
[字訓] ひ・そぐ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は予(よ)。予に序・抒(じよ)の声がある。予は杼(ひ)の象形でその初文。〔説文〕六上に「(はた)の、(よこいと)を持するなり」とあり、予はその末端に糸のあらわれている形である。

[訓義]
1. ひ、機のよこ糸をおくるもの。
2. うすい、そぐ、うすく長いもの。
3. 序と通じ、つらなる、次第する。
4. 抒と通じ、くむ。
5. 茅と通じ、つるばみ、とち。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕杼 比伊(ひい)〔名義抄〕杼 トチ・ノブ・ヒ 〔字鏡集〕杼 ヒ・ノブ・トチ・ヒク

[語系]
杼zia、予jiaは声近く、予は杼の初文。(邪)・斜zyaは横斜。経(たていと)に対して横さまに交叉するもので、杼にまた横斜の意がある。また徐・序ziaも同声。徐緩と、序を以てする意がある。

[熟語]
杼機杼梭杼思杼柚杼斗杼栗
[下接語]
機杼・梭杼・織杼・投杼・秉杼・鳴杼・幽杼

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百科事典マイペディア 「杼」の意味・わかりやすい解説

杼【ひ】

シャットルshuttleとも。製織に際し,経糸(たていと)の間に緯(よこ)糸を通す織機部品。舟形で,中央緯糸を巻いた木管をおさめている。ツゲ・カシ・サクラ材などを使用両端打撃を受ける部分は金属で補強する。杼は緯糸を繰り出しながら経糸の開口内を走る。
→関連項目自動織機無杼織機

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改訂新版 世界大百科事典 「杼」の意味・わかりやすい解説

杼 (ひ)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「杼」の解説

杼 (トチノキ)

学名:Aesculus turbinata
植物。トチノキ科の落葉高木,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「杼」の意味・わかりやすい解説


「シャットル」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【織物】より

…この形式は高機(たかはた)と呼ばれ,今日でも手機に多く用いられている。 機織には,このほか経糸の間に緯糸をたやすく通す方法や,緯糸を平行に固く経糸の間に打ち込む方法として,杼(ひ)や筬(おさ)と呼ばれる道具が用いられている。これも最初はきわめて簡単なもので,たとえば杼でも1本の棒に緯糸を巻いて用いていた。…

【織機】より

…綜絖は針金のほか板金のものもあり,手織機では糸を撚(よ)って作られている(図3)。綜絖の上下運動により経糸が所定の開口状態になると,木管に巻かれた緯糸が入っている舟形の杼(ひ)(シャットルshuttle)Iを左右に飛ばして緯入れを行う。このとき前後に揺動するスレーLに固定されている筬は後方に移動しており,シャットルはこの筬とレースM(開口した下側の経糸に接するようにスレーに固定されている)に沿って飛走し,緯糸はシャットルから引き出されて上下2群の経糸の間(杼口(ひぐち))に挿入される。…

【機】より

… これに対して織物の技術は,2条の繊維を経(たて)と緯(よこ)に交互に規則正しく編むところから発達してきた。編み台を用いる木や骨の編み針の使用は,機織りの杼(ひ)や筬(おさ)の前段階をなすものであった。歴史的に,初期の定着民のどの家族にも織機が存在したことが知られている。…

※「杼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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