柏木幸助(読み)かしわぎ・こうすけ

朝日日本歴史人物事典 「柏木幸助」の解説

柏木幸助

没年:大正2?(1913)
生年:安政3.12(1856)
明治期の発明家,実業家。周防国三田尻(防府市)出身。寒暖計,検温器の製造で知られるが,生家代々続いた薬屋で,生来調剤への関心が強く,安全マッチ,醤油醸造の「早造り法」,「柏木ジアスターゼ」でも名を残す。明治14(1881)年三田尻で寒暖計,検温器(水銀体温計)の製造を試み,16年11月にその第1号を製造した(製出年代は東京の山崎豊太郎の方が早い)。当時の検温器は輸入品で高価であったが,日露戦争後販路を拡大,43年には英米仏など先進国を視察し,帰国後製品の改良をはかり,「其の製出種類実に五十五種の多きに達し」,国内はもとより南洋,カナダ方面へも輸出,柏木体温計の名は世界に知られた。発明工夫を企業ベースに乗せた異彩を放つ人物であり,巨額の富を築いたといわれる。大正2(1913)年に2代幸助が事業を継承。<参考文献>松岡利春編『郷土史辞典・山口県

(武知京三)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

防府市歴史用語集 「柏木幸助」の解説

柏木幸助

 1856年(安政3年)に三田尻で生まれ、華浦医学校[はなうらいがっこう]で物理化学を学びました。日本ではじめて体温計を作ったほかしょうゆを早く醸造する方法や、酵素を発見して消化剤を生み出すなど様々な発明を行いました。また、多く会社を設立し、産業文化の面で防府の発展に力を注ぎました。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android