根羽村(読み)ねばむら

日本歴史地名大系 「根羽村」の解説

根羽村
ねばむら

[現在地名]根羽村根羽

江戸時代中期の「信州伊奈郡郷村鑑」では「ねばね」の訓がほどこされているが、現在は「ねば」と呼称する。

東海地方より信州への入口に位置し、古くより「塩の道」としての三州さんしゆう(伊那)往還に沿う村落として開けたものと推測される。「長野県町村誌」には、古くは三河足助あすけ郷に属し、室町時代に至って当郡新野にいの(現阿南あなん町)本拠を置く関氏が、関氏滅亡後は下条氏、続いて武田氏の支配下にあったと記されている。

天正一〇年(一五八二)三月一三日に、織田信長が武田氏を追ってこの村に着陣し、織田信忠の軍に敗れて甲斐田野たので自殺した武田勝頼父子の首級を実検したことが「当代記」に「十三日(天正十年三月)信長着根羽給、此所へ勝頼太郎(信勝)首来、信長甚喜悦」と記されている。


根羽村
ねばむら

面積:八九・九三平方キロ

伊那郡の最南西端に位置する農山村。南は愛知県北設楽きたしたら郡、西は岐阜県恵那えな郡、北は平谷ひらや村、東は売木うるぎ村と境を接し、矢作やはぎ川の上流根羽川に沿って集落が散在する。

村の中央を根羽川に沿って旧三州さんしゆう(伊那)往還(現国道一五三号)が愛知県足助あすけ、更に岡崎・名古屋方面へ通じ、更に村の中央部より南に三州吉田よしだ(現愛知県豊橋とよはし市)方面へ通じる吉田―新城しんしろ道が分岐している。江戸時代から明治にかけて中馬宿として栄えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「根羽村」の意味・わかりやすい解説

根羽〔村〕
ねば

長野県南西端,美濃三河高原北部にある村。近世三州街道 (伊那街道) の宿としてにぎわったが,鉄道から離れているため大正末期から交通路としての重要性は薄れた。林業,キノコ栽培,畜産などを主とする。気候は太平洋岸型で,生活は隣接する愛知県と関係が深い。月瀬の大スギは天然記念物。南東部の県境茶臼山があり周辺の高原紅葉名所でもあり,天竜奥三河国定公園に属する。国道 153号線が通る。面積 89.97km2人口 852(2020)。

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