桂皮酸(読み)ケイヒサン(その他表記)cinnamic acid

デジタル大辞泉 「桂皮酸」の意味・読み・例文・類語

けいひ‐さん【×桂皮酸】

カルボン酸一種カシア油蘇合香そごうこう主成分で、無色針状結晶。香料・医薬などに使われる。肉桂酸。

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精選版 日本国語大辞典 「桂皮酸」の意味・読み・例文・類語

けいひ‐さん【桂皮酸】

  1. 〘 名詞 〙 カルボン酸の一つ。化学式 C9H8O2 芳香のある無色単斜晶系針状結晶。カッシア油、ペルーバルサム、マンサク科タイワンカエデの樹脂蘇合(そごう)香油などに遊離またはエステルとして含まれる。香料の原料。肉桂酸。β‐フェニルアクリル酸。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桂皮酸」の意味・わかりやすい解説

桂皮酸
けいひさん
cinnamic acid

芳香族不飽和カルボン酸の一つ。ケイ皮酸とも記す。肉桂酸(にっけいさん)、(E)-3-フェニルプロペン酸、β(ベータ)-フェニルアクリル酸ともいう。カシア油、ペルーバルサムなどに遊離またはエステルの形で含まれている。C=C二重結合に関する配置の違いによりトランス形とシス形の2種の異性体が存在し、フェニル基C6H5カルボキシ基カルボキシル基)COOHが反対側にあるのがトランスtrans形で、同じ側にあるのがシスcis形であるが、天然には安定なトランス形のみ存在するので、普通、桂皮酸という場合にはトランス異性体をさす。弱い芳香をもつ無色の針状結晶で、エタノールエチルアルコール)、エーテルによく溶ける。エステルとして香料や化粧品に使われる。工業的には、ベンズアルデヒドと無水酢酸の縮合(パーキン反応)により合成する。

[廣田 穰]


桂皮酸(データノート)
けいひさんでーたのーと

桂皮酸
  C6H5CH=CHCOOH
 分子式 C9H8O2
 分子量 148.2

トランス形(桂皮酸)

 融点  135~136℃
 沸点  300℃
 解離定数 Ka=3.63×10-5
シス形(アロ桂皮酸)

 融点  68℃
 解離定数 Ka=131×10-4

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