森下雨村(読み)もりしたうそん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「森下雨村」の意味・わかりやすい解説

森下雨村
もりしたうそん
(1890―1965)

編集者、翻訳家。本名岩太郎。高知県生まれ。早稲田(わせだ)大学英文科卒業後、博文館入社。1920年(大正9)雑誌『新青年』を創刊して編集長となり、海外推理小説の翻訳を多数掲載すると同時に日本の作家育成にも努め、江戸川乱歩小酒井不木(ふぼく)、甲賀三郎らを同誌で紹介して推理小説の興隆に大きく貢献した。フレッチャー、オップンハイム、クロフツなどの翻訳もある。

厚木 淳]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「森下雨村」の解説

森下雨村 もりした-うそん

1890-1965 大正-昭和時代の編集者,小説家。
明治23年2月23日生まれ。博文館にはいり,大正9年「新青年」の創刊とともに編集長となる。海外の探偵小説を紹介したほか,江戸川乱歩らの新作家を世におくりだした。昭和40年5月16日死去。75歳。高知県出身。早大卒。本名は岩太郎。別号に佐川春風。作品に「白骨処女」,訳書コリンズ月長石」など。

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世界大百科事典(旧版)内の森下雨村の言及

【新青年】より

…1920年,博文館から創刊された推理小説中心の娯楽誌。最初は青年向け教養誌をめざしたが,海外推理小説の紹介が読者に歓迎されると,編集長森下雨村は日本での推理作家の養成を図り,江戸川乱歩,横溝正史,小酒井不木,甲賀三郎,夢野久作ら日本の推理小説に一時代を画した作家たちを発掘した。昭和前期には横溝正史が編集長をつとめ,独特のモダニズム調で親しまれ,小栗(おぐり)虫太郎,木々高太郎,久生十蘭らを紹介した。…

【推理小説】より

…これらの作家はもちろん推理小説的作品だけを書いたわけではないが,後に日本最初の推理小説作家と呼ばれた江戸川乱歩,横溝正史(1902‐81)らは,上記の作品によって大きな刺激を受け,とくに怪奇,幻想の特色を受け継いだのであった。 1920年1月に創刊された雑誌《新青年》は,編集長の森下雨村の好みもあって,はじめから海外探偵小説の翻訳・紹介をその特色としたが,同時に新人の創作を募集した。これに応じて投稿され,1923年4月号に掲載された江戸川乱歩の短編《二銭銅貨》は,日本推理小説史上画期的な作品で,以後彼は名作を次々と発表,日本において〈探偵小説作家〉と呼ばれることのできるものの第1号であると同時に,第一人者とも認められるようになった。…

※「森下雨村」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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