人形浄瑠璃(じょうるり)劇団、文楽座の座元。6世まであるが、初世と4世とが有名。
(1737―1810)阿波(あわ)(徳島県)の出身で、本名は道具屋大蔵。道具屋を業としたが、若いころより浄瑠璃を得意とし芸名に文楽軒を名のった。寛政(かんせい)(1789~1801)のころ大坂へ出て浄瑠璃の稽古(けいこ)所を開き、姓を植村と改めた。1805年(文化2)ごろ「高津新地(こうづしんち)の席」という人形浄瑠璃座を設け、今日の文楽座の基礎を築いた。初世没後、妻テルの甥(おい)正井貞蔵(ていぞう)が2世を継ぎ、博労(ばくろう)町難波(なにわ)神社境内に稲荷(いなり)の芝居を経営した。
[山本二郎]
(1813―87)本名を正井大蔵(のち植村に改姓)、文楽翁を称した。天性慧敏(けいびん)で経営の才に富み、稲荷の芝居は隆盛に赴いた。ところが天保(てんぽう)の改革で社寺内の興行が禁止されたため、各地を転々、苦難の経営を続けたが、1872年(明治5)大阪市西区松島に「官許人形浄瑠璃文楽座」の看板を掲げ、やがて斯界(しかい)の指導的地位を占め、文楽中興の祖とうたわれた。6世のとき経営不振となり、1909年(明治42)文楽座は植村家から松竹合名社に譲渡されるに至った。
[山本二郎]
人形浄瑠璃文楽の芝居(後の文楽座)の創始者。本名正井(一説に征木(まさき))与兵衛。淡路国仮屋(一説に阿波国)出身。竹本座,豊竹座廃絶後の寛政年間(1789-1801)に大坂に出て,道頓堀の東,高津(こうづ)橋南詰西の浜側に人形浄瑠璃の席を開いた。〈文楽軒〉は本人の素人義太夫の芸名,植村は淡路の人形座の元祖といわれる上村源之丞をならったという。のちに堀江市の側に進出。1810年に60歳で没した。その後,4世に当たる大蔵(文楽翁)が経営の才にすぐれ,座運を向上させた。72年(明治5),政令によって新開地の松島へ移転,初めて正式に〈文楽座〉を名のった。84年御霊(ごりよう)社境内に移り,竹本摂津大掾(だいじよう)を中心に文楽黄金時代を作り上げたが,文楽翁の没後は経営が行き詰まり,1909年松竹に経営権を譲渡した。
執筆者:山田 庄一
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(山田庄一)
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人形浄瑠璃劇場文楽座の経営者。江戸後期~明治期に6世を数える。初世(1751~1810)は淡路島の出身。本名正井与兵衛,釈楽道と号した。18世紀末に大坂へ出て,高津(こうづ)に浄瑠璃稽古所を開業。2世(1784~1819)は初世の子。本名嘉兵衛,釈浄楽と号す。文化年間に大坂博労町難波神社境内に「稲荷の芝居」(文楽の芝居)を経営。4世(1813~1887)は2世の子で,本名大蔵。釈真教と号し,俗に文楽翁とよばれる。宮地芝居が禁じられた天保の改革以後,大坂市内を転々としながらも浄瑠璃興行を続けた。1872年(明治5)官許人形浄瑠璃文楽座の看板を掲げ,松島新地で文楽座の全盛期を迎えた。文楽翁の死後は経営不振となり,孫の6世(本名泰蔵)は1909年経営を松竹に譲った。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
明治期の文楽座劇場主
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… このころより,人形浄瑠璃は三味線音楽の発達(朱と呼ばれる譜を発明)と相まって,芸の練磨・伝承に重点が置かれ,古典化の途をたどる。ただし人形浄瑠璃の観客数は必ずしも減少したわけではなく,大坂市中には群小座が分立し,その中から19世紀初頭に,高津橋南詰(現在の国立文楽劇場付近)に植村文楽軒が建てた小劇場が,後に難波神社境内に移り,文楽の芝居と呼ばれ,幕末・明治期人形浄瑠璃界の中心勢力となり,1909年(当時,御霊(ごりよう)文楽座)に経営が植村家から松竹合名会社に移って以後も,文楽座の名称は残り,大正・昭和ころから〈文楽〉は人形浄瑠璃の代名詞となった(祐田善雄《浄瑠璃史論考》参照)。文楽【内山 美樹子】
[明治期の人形浄瑠璃]
1872年(明治5),文楽軒の小屋は文楽座と名乗るが,当時,すでに文楽座は他座に抜きん出た大一座であった。…
…人形浄瑠璃の劇場名。淡路から大坂へ出た植村文楽軒は,寛政期(1789‐1801)に人形浄瑠璃を始めたという。そして1811年(文化8)のころには,〈文楽の芝居〉と呼ばれていた。…
※「植村文楽軒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...
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