楳茂都流(読み)ウメモトリュウ

デジタル大辞泉 「楳茂都流」の意味・読み・例文・類語

うめもと‐りゅう〔‐リウ〕【×楳茂都流】

日本舞踊上方舞流派の一。江戸末期、大坂の楳茂都扇性せんしょうが父鷲谷正蔵の芸を受けて創始

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精選版 日本国語大辞典 「楳茂都流」の意味・読み・例文・類語

うめもと‐りゅう‥リウ【楳茂都流】

  1. 〘 名詞 〙 日本舞踊の流派の一つ。江戸末期、大坂の楳茂都扇性(せんしょう)が父鷲谷正蔵の芸をうけて樹立。明治八年(一八七五)「てには狂言」を打ち出し人気を集めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楳茂都流」の意味・わかりやすい解説

楳茂都流
うめもとりゅう

上方舞(かみがたまい)の一流派。流祖本名鷲谷将曹(わしたにしょうそう)。1826―94)の父正蔵(しょうぞう)は、江戸末期京都方広寺門跡妙法院宮に仕え、御所に出入りするうち、雅楽乱舞(らっぷ)、今様(いまよう)、風流舞(ふうりゅうまい)の奥義を得、のち大坂・天満に移った。将曹はこれらの舞を伝承して今様風流舞楳茂都流をおこし、楳茂都扇性(うめもとせんしょう)と名のる。幕末から明治にかけて歌舞伎(かぶき)界の振付師として活躍するとともに、一般家庭の子女にも教え、大阪舞踊界に名をはせた。2世扇性(1865―1928)は初世の子で、さらに花柳界にも進出、「浪花(なにわ)をどり」の振付け・演出を創案し、また独自の舞踊譜、三絃(さんげん)譜を考案して作品の継承に道を開いた。3世家元陸平(りくへい)(1896―1985)は2世の子で、1931年(昭和6)渡欧。帰国後創作舞踊に新風を取り入れ、松竹楽劇部、宝塚少女歌劇にユニークな作品を発表。また文楽の振付けなど古典芸能にも造詣(ぞうけい)が深かった。著書に『舞踊への招待』がある。陸平没後は、高弟5人からなる理事制によっている。特色ある演目に『楳茂都流連獅子』『臥猫(ふしねこ)』『荒れ鼠(ねずみ)』等々がある。

[如月青子]

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改訂新版 世界大百科事典 「楳茂都流」の意味・わかりやすい解説

楳茂都流 (うめもとりゅう)

上方舞の流派。今様風流舞を唱えた初世楳茂都扇性(せんしよう)を流祖とする。初世扇性(本名鷲谷将曹)は父の薫陶を受け,大坂の振付師となった。父正蔵は江戸末期,御所に出入りするうち,雅楽,乱舞,今様などを修得した人であった。初世の実子2世扇性(本名路三郎)は,振付技術が認められ,明治末年から大阪で隆盛をきわめた花街舞踊の振付師となった。3世家元陸平はその伝統を継承,一方で宝塚歌劇,松竹楽劇部等の舞台で新機軸を試みながら軽妙闊達の流風を残して上方舞の中で異彩を放っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楳茂都流」の意味・わかりやすい解説

楳茂都流
うめもとりゅう

日本舞踊の一流派。上方舞の一つ。江戸時代末期に鷲谷正蔵の子将曹が大坂で今様風流舞楳茂都流と名のって一流を開き,みずからも扇性 (せんしょう。1世) と改めた。歌舞伎の振付師として活躍するほか一般人に座敷舞を教えた。 1894年1世が没すると,その子路三郎 (1864~1928) が2世扇性を継いだ。独自の舞踊譜を作り,大坂新町に浪花踊 (なにわおどり) が始ると振付演出に新機軸を出した。3世家元陸平 (1897~1985) は2世の子で,渡欧して帰国後は無歌詞のバレエ的新舞踊の先鞭をつけたり,群舞の試みをするなど,日本舞踊の革新に努めた。3世没後,楳茂都流舞踊協会が発足,理事制となった。

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デジタル大辞泉プラス 「楳茂都流」の解説

楳茂都(うめもと)流

日本舞踊の流派のひとつ。上方舞。江戸時代末期に、大阪の歌舞伎振付師、楳茂都扇生(せんしょう)(本名:鷲谷将曹(しょうそう))が創流。

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世界大百科事典(旧版)内の楳茂都流の言及

【日本舞踊】より

…さらに新舞踊からも新流派はあり,藤蔭流,五条流,林きむ子(1886‐1967)の林流,西崎緑の西崎流がある。上方舞では篠塚文三郎(?‐1845)を祖とする篠塚流,井上八千代の井上流,山村友五郎による山村流,楳茂都(うめもと)扇性の楳茂都流,吉村ふじ(?‐1909)の吉村流等がある。歌舞伎舞踊【菊池 明】。…

※「楳茂都流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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