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権限争議 けんげんそうぎ

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世界大百科事典 第2版の解説

けんげんそうぎ【権限争議】

広義では,一般にある事項または事件について国または地方公共団体の機関相互間で生じた権限の存否をめぐる紛争をいう。双方がともに自己の権限の存在を主張する場合を積極的権限争議といい,逆に,双方がともに自己の権限を否定する場合を消極的権限争議という。 権限争議(ドイツ語でKompetenzkonflikt,フランス語でconflit d’attribution)の制度は,元来,行政裁判の制度の採用により司法裁判(司法権)と行政裁判(行政権)とが分離され,その結果生じた系統の異なる司法・行政両裁判機関相互間の積極的または消極的な権限の抵触・衝突を解決するための制度として,主としてフランスおよびドイツ系諸国において発達してきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

権限争議
けんげんそうぎ

国家・公共団体の機関相互の権限の争いをいう。互いに権限を主張する積極的権限争議と、いずれも権限がないと主張する消極的権限争議の2種類がある。現行法上、行政機関相互の権限の争いは各機関の共通の上級機関が裁定を下し、また、その権限の争いが省の間にまたがるときは内閣総理大臣が閣議にかけて裁定する(内閣法7条)。行政機構は一般に上下の指揮監督権が及ぶピラミッド型構造をなしているから、権限争議は以上の方法により解決できるのが原則であるが、例外的には一方が独立性を有するため、この方法をとれないことがある。たとえば、経済産業省独立行政委員会たる公正取引委員会との間の産業政策独占禁止政策をめぐる争いを解決する制度は用意されていない。また、立法権、司法権、行政権の相互の間の権限争議についても現行法は規定を置いていない。
 もともと権限争議がよく起こったのは、行政活動をめぐる紛争を裁く裁判制度として行政裁判所と司法裁判所の二元制度が置かれていたドイツ、フランスや第二次世界大戦前の日本であった。公法の事件は行政裁判所、私法の事件は司法裁判所の管轄に属したのであるが、公法と私法の区別が不明確なため、いずれの裁判所に出訴すべきかが頻繁に争われたのである。フランスではこの権限争議を裁く権限裁判所を設置し、ドイツでは一方の裁判所が移送決定をしたときは他方の裁判所はこれに拘束されるとするなど、権限争議を解決する制度を置いているが、日本ではこうした制度はついに置かれなかった。第二次世界大戦後の日本では行政裁判所を廃止し、英米型の一元的裁判制度をとったので、こうした問題は生じなくなったが、なお、抗告訴訟を提起すべきか民事訴訟を提起すべきかがあいまいなため、訴えが却下(いわゆる門前払い)されるなど、訴訟間の一種の権限争いが残っている。[阿部泰隆]

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