橘夫人念持仏厨子(読み)たちばなふじんねんじぶつずし

百科事典マイペディア 「橘夫人念持仏厨子」の意味・わかりやすい解説

橘夫人念持仏厨子【たちばなふじんねんじぶつずし】

法隆寺蔵の厨子で,なか橘夫人橘三千代)の念持仏であった金銅阿弥陀三尊像を安置する。厨子,像ともに奈良時代の作。屋蓋の形式は法隆寺金堂内部の天蓋に似,龕身(がんしん)四方の扉(とびら)と須弥(しゅみ)座に描かれた絵は法隆寺金堂壁画の手法に近い。透彫の光背,流麗な浮彫菩薩を表した後屏(こうへい),三尊をささえる床に施した精緻(せいち)な蓮池などにすぐれた工芸技術を示している。
→関連項目法隆寺

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「橘夫人念持仏厨子」の意味・わかりやすい解説

橘夫人念持仏厨子
たちばなふじんねんじぶつずし

光明皇后の母である橘夫人の念持仏を納めた厨子と伝えられる。奈良時代 (8世紀初) の作で国宝。高さ 2.63m。もと法隆寺金堂内に安置されていたが,現在は同宝蔵殿にある。精巧な金銅阿弥陀三尊像を厨子内に納め,背後には透かし彫光背と供養菩薩を浮彫にした背障を置く。厨子の屋根は金堂の天蓋と似ており,四方の扉には仏,菩薩,梵天帝釈,四天王などを線描で描き,須弥座の周囲には蓮池から諸菩薩が現れるさま,両側には羅漢像を描く。彫刻,絵画,工芸が一体となった傑作。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「橘夫人念持仏厨子」の解説

橘夫人念持仏厨子
たちばなぶにんねんじぶつずし

法隆寺に伝わる木製の厨子。光明皇后の母橘大夫人県犬養三千代(あがたいぬかいのみちよ)の念持仏を安置した厨子との伝承がある。4脚の基台に宣字形の須弥座(しゅみざ)をすえ,その上に天蓋つきの箱形龕(がん)をおき,中に金銅製阿弥陀三尊像が安置される。龕の黒漆塗りの扉板には金泥で諸尊像が描かれ,須弥座の腰板には白色下地の上に顔料で供養図・僧座像・往生菩薩像などが描かれる。総高268.9cm。国宝。

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