檀風(読み)ダンプウ

デジタル大辞泉 「檀風」の意味・読み・例文・類語

だんぷう【檀風】

謡曲四番目五番目物宝生金剛喜多流太平記取材日野資朝ひのすけともの子梅若が佐渡島で父のかたきの本間三郎を討ち、熊野権現加護で無事に都へ帰る。

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精選版 日本国語大辞典 「檀風」の意味・読み・例文・類語

だんぷう【檀風】

  1. 謡曲。五番目物。宝生・金剛・喜多流。作者未詳。佐渡に流された日野資朝の子梅若は、帥阿闍梨(そつのあじゃり)の助けを借りて、鎌倉からの命令で父を切った本間三郎を討ち、熊野権現の加護による風で吹きもどされた船に乗り、無事に都に帰る。「太平記」による。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「檀風」の意味・わかりやすい解説

檀風
だんぷう

能の曲目。四、五番目物。宝生(ほうしょう)・金剛(こんごう)・喜多(きた)流現行曲。1985年(昭和60)に観世(かんぜ)流も試演している。『太平記』による。佐渡配流の日野資朝(ひのすけとも)(ツレあるいは前シテ)のもとに、その子梅若(うめわか)(子方)が山伏・帥(そち)の阿闍梨(あじゃり)(ワキ)に伴われて訪ねてくるが、資朝はわが子を気遣うあまり、対面を拒否したまま刑死する。梅若は刑を執行した本間三郎(ワキツレ)を親の敵(かたき)と、これを殺害して逃走する。すでに船出した舟を山伏が祈ると、熊野権現(ゆやごんげん)(シテあるいは後シテ)が現れて風を変えて舟を引き寄せ、無事梅若を都に送り返す。劇的な展開が、神の霊験(れいげん)で締めくくられる異色の能。ワキ方の重い習いで、とくに死骸(しがい)を供養する場面に特色がある。

増田正造

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