鎌倉後期の公卿(くぎょう)。権大納言俊光(ごんだいなごんとしみつ)の次子。後醍醐(ごだいご)天皇が朝廷の刷新を行うにあたって抜擢(ばってき)され、参議(さんぎ)、権中納言となり朝廷の政治の中心となった。天皇の倒幕計画に参画し、日野俊基(としもと)、花山院師賢(かざんいんもろかた)、四条隆資(しじょうたかすけ)らとともに、幕府の目を欺くために、無礼講(ぶれいこう)と称する学問遊宴の会合を設けて計略を巡らせた。それが六波羅探題(ろくはらたんだい)の知るところとなり、1324年(正中1)俊基とともに捕らえられ、鎌倉に幽閉された(正中(しょうちゅう)の変)。しかし天皇の告文(こうもん)によって死罪一等が減じられ、翌25年に佐渡へ流された。その後天皇の再度の倒幕計画(元弘(げんこう)の変)の際、北条高時(たかとき)は本間泰宣(ほんまやすのぶ)に命じ、資朝を斬(ざん)に処した。32年(元弘2・正慶1)6月2日のことであった。
[小林一岳]
鎌倉末期の公卿。新来の宋学(朱子学)を修めるなど,若くして才気煥発であり,花園天皇,続いて後醍醐天皇の知遇を得て,弁,参議を経て権中納言にすすんだ。この間,後醍醐天皇が記録所を開設するやその寄人に加えられ,また蔵人頭,検非違使別当等も務めた。こうして後醍醐天皇の大覚寺統にくみするようになり,持明院統の側に立つ,父の俊光や兄弟の日野資名・柳原資明とは別の道を歩むことになった。やがて後醍醐天皇が討幕を企図すると,日野俊基とともに策謀の中心となった。しかし幕府の察知するところとなり,1324年(正中1)捕らえられて,翌年佐渡に流された(正中の変)。7年後,再び後醍醐天皇の討幕計画が露見した際に,幕府の命で配所で殺された(元弘の乱)。子の阿新(くまわか)による仇討の物語が《太平記》によって流布している。日記に《資朝卿記》(《花園院御脱屣記(おんだつしき)》)がある。
執筆者:山本 博也
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(佐藤和彦)
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1290~1332.6.2
鎌倉末期の公卿。権中納言。持明院統の近臣であった俊光の子。後醍醐天皇の近臣で,天皇の倒幕計画に参画しその中心となった。1324年(正中元)謀議が幕府に漏れて捕らえられ,翌年佐渡に流された(正中の変)。31年(元弘元)再び後醍醐天皇の倒幕計画が露見し,翌年天皇が隠岐に流されると,幕府の命で配所で殺された(元弘の乱)。
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…一方幕府も内紛と寺社勢力の敵対に苦しみ,各地では悪党が跳梁するなど,幕府の専制支配にも破綻が顕著となった。この機をとらえた天皇は日野資朝ら近臣とはかって反幕勢力を糾合して,討幕計画を進めた。24年(正中1)9月23日の北野祭を期して挙兵する手はずであったが,同志の密告により事前に発覚,同月19日土岐頼有,多治見国長は六波羅軍に囲まれて自害した。…
… 病身の花園はしばしば隠居出家しようとしながら果たさず,後宇多の院政を批判,単なる博識や器用な文章を重んずる時流に反発しつつ文字の背後にある〈道義〉を求めて学問に没頭し,天台・真言の教義をはじめ浄土宗にも関心を寄せている。その中で日野資朝を知った花園は,これを通してのちに京都梅津の長福寺開山となった月林道皎を知り,禅宗に傾倒するとともに,資朝を重用する後醍醐の意欲的な政治に強い関心と期待を抱き,22年(元亨2)以後,資朝,菅原公時らと《尚書》の研究会をはじめ,《論語》《毛詩》などにも及んでいる。しかし後醍醐の〈綸旨万能〉の姿勢や宋学の学風に対して花園は批判的で,その《学道之書》に見られるように,博識,風月を排し,正統的な儒教の〈道義〉を追求しつづけ,正中の変(1324)で後醍醐に失望して以後,その態度を一段と強めた。…
…藤原氏北家の流れ。右大臣内麻呂の息男真夏から出て,その孫家宗が山城国宇治郡日野の地に法界寺を創建し,家宗の5世の孫藤原資業(すけなり)が法界寺の薬師堂を建立し,それより日野氏を称した。公家としての家格は弁官を経て中・大納言に至る名家で,代々儒道および歌道をもって朝廷に仕えた。南北朝時代には俊光,資名,資朝が活躍し,室町時代には時光の女業子と孫女康子(北山院)が将軍足利義満の室となってから,9代義尚まで日野家の女が将軍の室となったために勢力を張り,時光の子資康および資康の子重光は従一位権大納言に進んだ。…
※「日野資朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...
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