次亜塩素酸カルシウム(読み)じあえんそさんカルシウム(英語表記)calcium hypochlorite

精選版 日本国語大辞典 「次亜塩素酸カルシウム」の意味・読み・例文・類語

じあえんそさん‐カルシウム【次亜塩素酸カルシウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( カルシウムは[英語] calcium ) 高度さらし粉主成分。化学式 Ca(ClO)2 白色の結晶性粉末。水に溶けやすい。酸と作用して塩素を発生。水溶液は容易に分解して酸素を発生し、その酸化力で漂白殺菌などの作用をする。漂白、防臭消毒に用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「次亜塩素酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

次亜塩素酸カルシウム (じあえんそさんカルシウム)
calcium hypochlorite

化学式Ca(ClO)2水酸化カルシウム消石灰)Ca(OH2の粉末に塩素を吸収させると,

 2Ca(OH)2+2Cl2─→Ca(ClO)2+CaCl2+2H2O

の反応で,この物質と塩化カルシウムを含む白色粉末(さらし粉)が得られる。これは殺菌,消毒,漂白などに広く用いられる安価な強酸化剤であるが,ふつう未反応のCa(OH)2が含まれ,有効成分であるCa(ClO)2はその中の塩素量(有効塩素量)に換算して30~38%程度しかない。しかし,消石灰を水で濃い乳状にした石灰乳に塩素を吸収させると,Ca(ClO)2・3H2Oを主成分とする,さらに強い酸化剤(高度さらし粉)が得られ,有効塩素量は60~75%に達する。これをさらに精製して得た3水和物は,潮解性のある無色の針状結晶で,水に溶けて酸素を,酸に溶けて塩素を発生し,これが上の酸化作用の原因となる。無水和物,2水和物,4水和物も知られている。さらし粉以外の漂白剤原料ともなり,分析化学の標準液としても用いられる。
晒(さらし)粉
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化学辞典 第2版 「次亜塩素酸カルシウム」の解説

次亜塩素酸カルシウム
ジアエンソサンカルシウム
calcium hypochlorite

Ca(ClO)2(142.98).無水物のほかに,二,三,四水和物も得られているが,いずれも100% 純粋なものは得にくい.実用されるさらし粉は,普通,約50%(高度さらし粉は70% 以上)のCa(ClO)2を含む.純品は,水酸化カルシウムと次亜塩素酸または一酸化二塩素Cl2Oとの反応でつくり,減圧乾燥すると得られる.無水物は無色の粉末.室温では比較的安定であるが,150 ℃ 以上では急激に分解する.潮解性で,水に易溶.強い酸化作用を示す.殺菌(プールの水など),漂白,酸化剤,分析試薬などに用いられる.[CAS 7778-54-3]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「次亜塩素酸カルシウム」の意味・わかりやすい解説

次亜塩素酸カルシウム
じあえんそさんカルシウム
calcium hypochlorite

化学式 Ca(ClO)2 。無色粉末。水に易溶。市販品は通常 50%程度の次亜塩素酸カルシウムを含み,不純物として過塩素酸カルシウム,塩化カルシウム,炭酸カルシウム,水酸化カルシウム,水分などが含まれる。さらし粉の主要成分で,酸化剤,漂白剤,砂糖の精製,脱臭剤,殺菌剤などに使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の次亜塩素酸カルシウムの言及

【さらし粉(晒粉)】より

…漂白粉,カルキともいう。次亜塩素酸カルシウムを有効成分とする白色粉末で,アルコールや水によく溶ける。塩素に似た刺激臭を放ち,次亜塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウムなどとともに強い酸化漂白作用をもつ。…

※「次亜塩素酸カルシウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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