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欧州ソブリン危機 おうしゅうそぶりんきき

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知恵蔵2015の解説

欧州ソブリン危機

ギリシャの2009年の政権交代に伴い、国家財政の決算が粉飾されていたことが暴露された。このため、翌10年にかけてギリシャの国債(ソブリン債)の格付けが引き下げられた。ギリシャの国家財政が破綻(はたん)し債務不履行となることへの不安から、ギリシャ国債は暴落し、世界各国の株価およびユーロ為替相場が下落した。ギリシャの他欧州ではスペインポルトガルなども大幅な財政赤字に苦しんでおり、このギリシャの危機が欧州各国にも波及して国際的な金融危機に発展することが懸念され、世界経済の景気回復に悪影響を及ぼしている。この一連の動きを欧州ソブリン危機という。
ギリシャの国債は海外の金融機関などが、総額の4分の3を保有している。国債などの債務が不履行となると、この影響は世界各国に広がり計り知れない危機を招きかねない。ギリシャのGDP(国内総生産)自体はEU諸国全体の数%を占めるにすぎないが、ギリシャが、負債を抱える欧州の政府の一つの典型になっているからである。
ギリシャは現在、財政赤字と対外債務に苦しんでいる。産業が脆弱(ぜいじゃく)で輸出力が弱く、経済成長による解決は望めない。また、ユーロを採用しているため通貨の切り下げもできない。このような不利な条件のなかで、解決の方策を立てることが求められる。そこで、財政縮小に取り組むには公共サービスの縮小が不可避である。また、国際競争力手に入れるには賃金カットなどの荒療治が必要と考えられる。しかし、財政再建策撤回のゼネスト行われるなど、ともに国民的理解を得るのが困難であり、解決の展望が見えない。これらは、ギリシャに限らず、他のいくつかの欧州諸国に共通した普遍性をもつ問題となっている。
欧州ソブリン危機でユーロへの信頼が揺らぎ、この不安の打ち消しのために欧州各国政府・中央銀行は巨額の支援基金、スワップ協定などを打ち出したが、成果は未知数である。また、国際通貨基金(IMF)は、このような世界的な経済危機の結果、EUの財政ルールの欠点が明らかになったとし、加盟各国政府の経済ガバナンスの強化、加盟国の財政スタンスを決定し、予算を分配する権限をもつ「欧州財政局」の創設など、その改革を迫っている。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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