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欧州憲法条約 おうしゅうけんぽうじょうやく/EUけんぽうじょうやく/いーゆーけんぽうじょうやく

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知恵蔵2015の解説

欧州憲法条約

欧州憲法条約は、ローマ条約マーストリヒト条約ニース条約などそれまでに成立していた7つの条約を集約し、複雑な法体系を整備・合理化したものである。2004年6月の欧州理事会(EU首脳会議)で採択された。憲法条約の発効には全加盟国の批准が必要だが、05年5月と6月にフランスオランダ国民投票相次いで同条約の批准を拒否したことから、他の多くの加盟国が批准手続き延期を表明、足踏み状態となった。06年6月の欧州理事会で、批准プロセス継続と既存の基本条約の枠内で制度改革を行う方針を採用した。07年5月、憲法条約の簡素化を主張するサルコジがフランス大統領に選出されたことが弾みとなり、翌6月の欧州理事会では憲法条約が大きく簡素化、修正されて、改革条約となった。12月には議長国ポルトガルリスボンで条約が調印された(「リスボン条約/改革条約」の項参照)。00年12月にニース開かれた欧州理事会は、第5次拡大に伴う大幅な制度改革を行うことで合意し、欧州憲法条約の制定を決定した。憲法序文は、欧州の文化的、宗教的、人道的な遺産を継承し、「多様性の中の統一(United in diversity)」とともに、加盟国市民は「ひとつのヨーロッパ市民」としての意識をもつことを謳(うた)っている。欧州憲法条約は、半年交代の輪番制による議長国制度をやめ、「EUの顔」となるEU大統領(欧州理事会常任議長、任期2年半、再選1回)と、外相理事会の議長であり、共通外交・安全保障政策の代表となるEU外相を新設することを定めている。また、欧州議会の権限拡大のために欧州議会に対して欧州理事会との共同立法権が与えられた。加えて欧州議会はEUの「首相」に当たる欧州委員会委員長を選出し、「大臣」に当たる委員の罷免権ももつ。加盟国民は100万人の要求があれば欧州委員会に法案作成を求めることができるようになった。対立の火種になっていた委員の数に関しては、当面加盟国全てから1名ずつ出し、14年以降加盟国数の3分の2に削減すると定められた。閣僚理事会の決定は、加盟国の55%以上が賛成し、賛成国の人口総数が65%以上で成立するという二重決定方式が採用された。しかし、英国の意向に妥協する形で、共通外交安全保障政策、司法・内務協力、税制、社会保障政策などの重要分野では、拒否権(全会一致制度)が残されている。

(渡邊啓貴 駐仏日本大使館公使 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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