武道必修化(読み)ぶどうひっしゅうか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「武道必修化」の意味・わかりやすい解説

武道必修化
ぶどうひっしゅうか

中学校の第1学年と第2学年の保健体育科で、男女ともに武道必修とすること。2006年(平成18)に、施行以来およそ60年ではじめて改正された教育基本法第2条で、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が教育目標の一つとして規定されたことに基づき、2008年改訂の学習指導要領に盛り込まれた。2012年度からすべての中学校で実施されている。なお、新学習指導要領では第1、第2学年については武道とともにダンスも含めたすべての領域(「体ほぐしの運動」と「体力を高める運動」からなる体つくり運動、器械運動、陸上競技水泳球技、体育理論)が必修となっている。第3学年は体つくり運動と体育理論が必修で、器械運動、陸上競技、水泳、ダンスのなかから一つ以上と球技および武道から一つ以上をそれぞれ選択する。

 選択できる武道の種目柔道剣道相撲空手弓道少林寺拳法など幅広いが、実際に選ばれる武道の種目は柔道が過半を占め、柔道と剣道を採用している学校が9割以上に上っている。柔道の場合、これまで授業中の事故は少ないものの、部活動中の事故はきわめて多い。日本スポーツ振興センターの災害共済給付実績をもとに、文部科学省が発表したデータによれば、1998~2009年に柔道部活動中の事故で、死亡もしくは重度障害を負った中学生は24名。次に多いバスケットボールは15名であり、群を抜いている。反面、管理が行き届いていれば事故は減らせる可能性が高く、文部科学省は柔道の授業における安全管理に関する資料を作成・配布した。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例