歳旦物(読み)さいたんもの

精選版 日本国語大辞典 「歳旦物」の意味・読み・例文・類語

さいたん‐もの【歳旦物】

  1. 〘 名詞 〙 邦楽で、新年に演奏するために作詞作曲した祝賀曲のこと。一中・常盤津・清元などの豊後系の浄瑠璃に多く、中にはその年以後も演奏されるものもある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「歳旦物」の意味・わかりやすい解説

歳旦物
さいたんもの

三味線音楽の曲の分類用語。特に豊後系浄瑠璃でいう。祝儀曲の一種。家元が新年の弾き初めで発表する新曲総称。そのときだけですたれたものもあるが,伝承されて祝儀曲となっているものもある。以下,現存するおもな曲は以下の通り。 (1) 河東節『松の内』 享保3 (1718) 年江戸市村座の狂言『傾城富士の高根』のなかの一曲。 (2) 一中節『甲子 (きのえね) 』 文化1 (1804) 年発表。素柳作詞,1世菅野序遊作曲。 (3) 一中節『松襲』 文化3 (06) 年発表。1世菅野序遊作曲。 (4) 常磐津節『常磐老松』 万延1 (60) 年発表。5世岸沢式佐作曲。 (5) 富本節長生』 本名題『年朝嘉例寿 (としのあしたかれいのことぶき) 』。寛延2 (1749) 年発表。松平南海公作詞。富本節創賀の曲でもある。 (6) 清元節『卯の花』 本名題『賑民寿万歳 (にぎわうたみことぶきまんざい) 』。天保2 (1831) 年発表。 (7) 清元節『双六』 本名題『青楼春 (さとのはる) 道中双六』。文久1 (61) 年発表。河竹黙阿弥作詞,3世清元斎兵衛作曲。

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改訂新版 世界大百科事典 「歳旦物」の意味・わかりやすい解説

歳旦物 (さいたんもの)

邦楽で,年頭に演奏されるために作られた曲目狭義には,河東(かとう)節,一中(いつちゆう)節,常磐津(ときわづ),清元などの浄瑠璃で,年頭に一門が集まって演奏する弾初(ひきぞめ)に発表された新曲で,鶴亀,門松など,年頭の祝いや長寿をあらわす内容の短い曲が多い。歳旦浄瑠璃ともいう。常磐津の《老松》,清元の《名寄せ》などがある。
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