母子世帯・父子世帯(読み)ぼしせたいふしせたい

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

母子世帯・父子世帯
ぼしせたいふしせたい

母子世帯とは、父のいない児童(満20歳未満の子どもであって、未婚のもの)がその母によって養育されている世帯、父子世帯とは、母のいない児童(定義は同上)がその父によって養育されている世帯をいう。この定義は、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課が5年ごとに実施している「全国ひとり親世帯等調査」(2011年までは「全国母子世帯等調査」)によるものである。
 かつては、一家の稼ぎ手を失った母子世帯を政策の対象としてきたので、父子世帯の問題は浮かび上がってこなかった。現在では父子世帯も政策の対象としてとらえられるようになってきており、母子世帯および父子世帯を「ひとり親世帯」と総称し、ひとり親に対する政策がとられている。なお、2014年(平成26)、「母子及び寡婦福祉法」は、「母子及び父子並びに寡婦福祉法」に改称された。[神尾真知子]

母子世帯・父子世帯の現状

「平成28年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯は123.2万世帯、父子世帯は18.7万世帯であり、ひとり親世帯の約87%は母子世帯である。ひとり親世帯になった理由は、死別または生別(離婚、未婚の母または未婚の父、遺棄、行方不明、その他)であるが、母子世帯では離婚79.5%、死別8.0%、父子世帯では離婚75.6%、死別19.0%となっており、父子世帯では、死別を理由とする割合が母子世帯よりも高い。
 平均世帯人員は、母子世帯3.29人、父子世帯3.65人で、子ども以外の同居者がいる母子世帯は38.7%、父子世帯は55.6%である。そのうち、親と同居している母子世帯は27.7%、父子世帯は44.2%となっており、母子世帯は約4分の1、父子世帯は半分近くが親と同居している。
 就業状況は、母子世帯の母は81.8%、父子世帯の父は85.4%となっているが、雇用形態をみると大きな差異がある。母子世帯の母の就業者のうち、正規職員・従業員は44.2%、パート・アルバイト等43.8%、自営業3.4%であるのに対し、父子世帯の父の就業者のうち、正規職員・従業員は68.2%、パート・アルバイト等6.4%、自営業18.2%となっている。
 平均年間就労収入は、母200万円、父398万円であり、その他の収入を含めた平均年間収入は、母243万円、父420万円となっている。同居親族を含む世帯全員の平均年間収入は、母子世帯348万円、父子世帯573万円である。母子世帯と父子世帯の収入には大きな格差がある。
 「平成28年国民生活基礎調査」によると、子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)で大人が2人以上いる場合の相対的貧困率は10.7%であるが、大人が1人の場合には50.8%である。ひとり親の半分が相対的貧困である。[神尾真知子]

ひとり親に対する政策

2002年3月7日の厚生労働省の「母子家庭等自立支援対策大綱」は、「基本的考え方」において、急速に離婚が増大するなかで、母子家庭等ひとり親のもとで監護、養育される子どもたちが増えていることを踏まえ、1952年(昭和27)に戦争未亡人対策から始まり50年の歴史をもつ母子寡婦対策を根本的に見直し、新しい時代の要請に的確に対応できるよう、その再構築を目ざすと述べている。それまでの経済的支援を中心とした政策から、就業支援を中心とした総合的な自立支援政策に転換した。
 現在、ひとり親家庭への支援施策は、(1)子育て・生活支援、(2)就業支援、(3)養育費の確保、(4)経済的支援の四本柱で推進されており、具体的には、以下のような取り組みが進められている。
(1)子育て・生活支援 一時的に家事援助、保育等のサービスが必要となった際の低料金のヘルパー派遣、ひとり親が病気等の場合に児童を児童養護施設等で最長7日間まで預かるショートステイなどが行われている。
(2)就業支援 都道府県・政令市・中核市に「母子家庭等就業・自立支援センター」(2016年時点で112か所)が設置され、就業相談・就業支援講習会・就業情報提供等の一貫した就業支援サービスの提供などが行われている。
(3)養育費の確保 養育費相談支援センターが設置され、情報提供、相談等が行われている。
(4)経済的支援 児童扶養手当の支給などが行われている。児童扶養手当は、従来は母子家庭のみを対象としてきたが、2010年8月からは父子家庭の父にも支給されるようになった。なお、遺族基礎年金も男女差が解消され、2014年4月から父子家庭にも支給されるようになった。[神尾真知子]
『金川めぐみ「日本におけるひとり親世帯研究の動向と課題」(『経済理論』369号pp.1~16・2012・和歌山大学経済学会) ▽金川めぐみ「母子及び寡婦福祉法成立までの歴史的経緯」(『経済理論』370号pp.1~26・2012・和歌山大学経済学会)』

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