デジタル大辞泉
「毛抜き」の意味・読み・例文・類語
け‐ぬき【毛抜き/×鑷】
毛・とげなどをはさんで抜き取る金属製の道具。U字形で、先端がぴったり合わさるように内側に曲げてある。
[補説]作品名別項。→毛抜
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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け‐ぬき【毛抜・鑷】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① ひげ、眉毛、毛髪などをはさんで抜き取る金属製の道具。はさみのような形をして、頭がくい合うようにつくってある。けぬきかたな。〔十巻本和名抄(934頃)〕
- [初出の実例]「また、姑に思はるる嫁の君。毛のよく抜くるしろがねのけぬき」(出典:枕草子(10C終)七五)
- ② 取引相場で、二度続けて値段が上がったり下がったりすること。その表が上向きまたは下向きの毛抜きのような形をしているところからいう。〔取引所用語字彙(1917)〕
- [ 2 ] ( 毛抜 ) 歌舞伎十八番の一つ。時代物。一幕。寛保二年(一七四二)大坂大西の芝居初演。「雷神不動北山桜(なるかみふどうきたやまざくら)」の一節で、文屋豊秀の家臣粂寺弾正が、毛抜が立つのを見て、豊秀の許嫁錦の前の頭髪が逆立つ奇病の根源を磁石と察し、お家騒動を納める筋。現行脚本は、明治四二年(一九〇九)岡鬼太郎の脚色で二世市川左団次が復活上演したもの。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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毛抜き (けぬき)
古くは鑷,鑷子とも書いた。エジプト第1王朝期ではすでに毛抜きが存在し,紀元前後以降は世界各地で使用されていた。日本でも後期古墳の副葬品として発見されている。江戸時代以前は剃刀(かみそり)は僧侶の剃髪に用いられ,一般に頭髪,眉(まゆ),鼻毛,鬚(あごひげ)を抜くのには毛抜きが用いられた。《枕草子》には,〈ありがたきもの〉として〈毛のよく抜くるしろがねの毛抜〉がみえており,銀製が珍重されたようであるが,一般には青銅製が多かった。江戸時代には,歌舞伎《毛抜》で磁石により毛抜きが引きつけられる場面もあり,鉄製が普及していたという。月代(さかやき)の毛を抜くためには,木鑷(げつしき)と称する,木製の毛抜きも使われた。剃刀が一般に広まると,毛抜きはおもに鬚を整えることに使用されるようになり,たばこ盆に身のまわり用品の一つとして毛抜きを備えることも多く,〈書院毛抜〉と称した。現在では魚の小骨とりや,裁縫用,医療用もある。欧米ではトウィーザズtweezersというピンセット型のものを用いる。
執筆者:徳村 薫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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