出光興産(読み)いでみつこうさん

共同通信ニュース用語解説 「出光興産」の解説

出光興産

国内2位の石油元売り会社。創業者の出光佐三いでみつ・さぞう氏が1911年に福岡県門司で創業した出光商会が前身。長年非上場だったが、2006年に東京証券取引所に上場した。北海道苫小牧市、千葉県市原市、愛知県知多市の国内3カ所に製油所を持つ。18年3月期連結決算は売上高が3兆7306億円、純利益は1623億円だった。従業員は8955人。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「出光興産」の意味・わかりやすい解説

出光興産(株)
いでみつこうさん

大手石油精製・販売会社。1996年(平成8)に、売上高が2兆円を超えた。1911年(明治44)出光佐三が福岡県門司(もじ)に個人商店出光商会をおこし、石油販売業を開業したのに始まる。人間尊重の経営理念に基づく大家族主義や、問屋などの中間搾取を排除する直販方式などの独特の経営方針を掲げて、商域を国内だけでなく中国大陸にまで拡張した。1940年(昭和15)中華民国および満州(中国東北部)の業務を別会社に分割し、国内の営業財産を継承して出光興産を設立。第二次世界大戦後は多くの同業他社が外資との提携を強めるなかで、民族系石油会社の中心的存在として成長。1949年(昭和24)に元売り会社に指定されたのち、1957年には山口県徳山製油所を建設して石油精製業にも進出した。国有化問題でイギリスと係争中であったイランからの石油の大量輸入、ソ連原油の輸入、自社運航方式に基づく一連のマンモスタンカーの建造、石油連盟からの脱退、新潟県阿賀(あが)沖での日本初の本格的海底油田・ガス田の開発など、独特の経営行動を展開し、社会的な注目を集めた。

[橘川武郎]

 2019年(平成31)4月、昭和シェル石油と経営統合。商号は出光興産で、トレードネームを出光昭和シェルとする。統合時の資本金は1684億円、売上高6兆9000億円。北海道、愛知、四日市三重県)などの5つの製油所をもつ。

[編集部]

『出光興産株式会社編・刊『出光五十年史』(1970)』

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改訂新版 世界大百科事典 「出光興産」の意味・わかりやすい解説

出光興産[株] (いでみつこうさん)

日本有数の石油会社。非上場。1911年(明治44)6月,出光佐三(1885-1981)が門司に個人商店の出光商会を興し,石油販売業を開始したことに始まる。出光佐三が1代で築き上げた民族系最大手の石油会社(民族資本)として,また〈人間尊重の事業経営〉など特異な社風で知られる。大正年間に入って下関を中心に始めた漁船向け燃料油の販売が成功し,中国,朝鮮台湾に販路を拡大した。40年,出光商会の朝鮮,台湾,関東州,日本国内の営業資産を継承し,出光興産(株)を設立した。第2次大戦により在外資産をすべて失うなどしたが,49年に石油元売制のスタートで元売会社に指定され,復活の足がかりをえた。56年徳山製油所の建設に着手,10ヵ月の短期間で完成させ,石油精製業にも進出した。原油調達面でも,アングロ・イラニアン社の国有化を断行してイギリスと係争中だったイランからの原油輸入を決行したり(1953),〈赤い石油〉と呼ばれたソ連原油を輸入する(1960)など,積極果敢な行動をみせた。また62年には船舶部を分離して出光タンカー(株)を設立し,つぎつぎにマンモス・タンカーを建造した。近年はウラン開発や地熱開発も手がけるなど,総合エネルギー企業をめざしている。資本金388億円(2004年3月末),売上高2兆4507億円(2004年3月期)。
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百科事典マイペディア 「出光興産」の意味・わかりやすい解説

出光興産[株]【いでみつこうさん】

代表的な民族資本の石油元売会社。1911年出光佐三〔1885-1981〕が門司に石油販売業出光商会創業。出光商会は,1947年に1940年設立の子会社出光興産に合流。第2次大戦後徳山,千葉に製油所を建設。1953年には,石油国有化問題で英国と係争中であったイラン政府から大量に石油を買い付け,国際的な注目を浴びた(いわゆる〈日章丸事件〉)。2003年9月北海道製油所で十勝沖地震に伴う火災事故が発生,多大な被害を出した。本社東京。未上場企業で,資本金は長らく10億円に据え置かれていたが,2006年10月株式公開に踏み切り,東京証券取引所第一部に上場した。2011年資本金1086億円,2011年3月期売上高3兆6593億円。売上構成(%)は,石油製品81,石油化学製品14,石油開発2,石炭2,その他1。
→関連項目出光美術館民族資本

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出光興産」の意味・わかりやすい解説

出光興産
いでみつこうさん

民族系資本で石油の精製・販売をおもに行なう元売企業。1911年出光佐三が出光商会として個人創業,1914年以後中国大陸,朝鮮,台湾に進出,1940年現社設立。第2次世界大戦後は海外資産のすべてを失ったが経営努力によって再出発,独特の経営方針で成長を続け,1951年には大型タンカー日章丸を建造して,他社にさきがけて自社輸送を開始。1957年徳山製油所,1963年千葉製油所を完成,1964年出光石油化学を設立,1967年には世界初の重油直接脱硫装置を完成させるなど民族系石油会社のリーダーとなった。この間 1962年には船舶部門を分離して出光タンカー設立,1971年日本海石油開発設立,1972年には石油開発公団と共同出資で出光タイ石油開発を設立し,資源の探査,開発に努め,石炭,ウランなどを含めた総合エネルギー企業を志向。2004年出光石油化学と合併。長らく非上場の大企業として知られたが,2006年に東京証券取引所1部に上場し,創業家が経営から完全に撤退した。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「出光興産」の解説

出光興産

正式社名「出光興産株式会社」。英文社名「Idemitsu Kosan Co., Ltd.」。石油・石炭製品製造業。明治44年(1911)前身の「出光商会」創業。昭和15年(1940)設立。本社は東京都千代田区丸の内。独立系石油元売り大手。給油所に掲げられている横顔マークのモチーフはギリシャ神話のアポロン。ウルトラマンのCMも話題に。東京証券取引所第1部上場。証券コード5019。

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