出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
筆跡や手跡、消息の文や手紙、筆の意。語源には諸説あり、みずみずしい茎の意からとしたり、また昔、手紙をつけるアズサの枝をみずみずしい木とみなし、転じて筆跡、筆の意となったことからとし、また植物のコウボウムギ(別名フデクサ)の古い地下茎が筆の穂の形なので、これを切って筆としたことからなどとする説がある。いずれも平安時代以後の用法であるが、とくに「水茎」を筆、「水茎の跡」で文字・筆跡を意味する例が多い。奈良時代では「水茎の」の形で「岡」「水城(みずき)」にかかる枕詞(まくらことば)として用いられ、岡にかかる場合はミズクキの生えている岡の意により、水城(水辺の防御用土塁、水濠(すいごう))の場合は同音の繰り返しによってかかるとされている。
[藁科勝之]
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