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墨跡 ぼくせき

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

墨跡
ぼくせき

本来は墨筆で書いた文字のことであるが,日本の書では禅宗の高僧の筆跡を禅林墨跡,略して墨跡といい,限定して用いる。正平 18=貞治2 (1363) 年の『仏日庵公物目録』にその例がみられる。

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デジタル大辞泉の解説

ぼく‐せき【墨跡/墨×蹟】

墨で書いたあと。筆跡。また特に、禅僧の筆跡。

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百科事典マイペディアの解説

墨跡【ぼくせき】

墨書した筆跡の意味だが,日本では主として鎌倉〜室町期の臨済宗禅僧の筆跡をさす。禅機によって書かれた印可状,法語,偈頌(げじゅ)の類で,書の技法を主としないため,逸脱したなかに高い風韻をたたえているのが特色。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぼくせき【墨跡】

墨跡ということばは紙や布に墨書された肉筆一般を意味するもので,書跡,筆跡と同義であり,墨迹,墨蹟とも書くが,日本では臨済宗を主とする禅宗僧侶の書を特に禅林墨跡と称し,略して〈墨跡〉と呼ぶ習慣がある。 中国での用例は古く,六朝時代《宋書》范曄伝に〈示以墨跡〉とあり,唐の詩人韓愈の《高君仙硯銘》中にも〈宛中有点墨跡文字之祥。君家其昌〉と見えている。さらに《宋史》真宗紀に〈太宗墨迹賜天下〉とか,〈真宗書籍万余巻。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

墨跡
ぼくせき

禅僧の筆跡の習慣的呼称。本来は「書いた筆のあと」(筆跡)を意味し、中国では「墨迹」とも書いて広く肉筆一般をさすが、わが国では、とくに中国・日本の禅僧の筆跡に限定して墨跡の語が用いられる。なかでも、中国の宋(そう)・元時代の禅僧、および日本の鎌倉・室町時代の禅僧が書いたものを珍重するが、さらに範囲を広げて江戸時代以後の臨済宗や黄檗(おうばく)宗の僧侶(そうりょ)のものも、そのなかに含めて考えられている。室町時代、村田珠光(じゅこう)らによって茶道が盛行するにつれて、墨跡は茶席の掛物の第一に置かれてきた。それは、書かれた文句の心、および筆者の徳に対して、尊敬されたところにある
 墨跡には、さまざまな内容があり、およそ次のように区分される。(1)印可状(いんかじょう) 師が弟子に対して、修行を終えた証明として与えたもので、墨跡のなかでもっとも重要とされるもの。
(2)字号(じごう) 師が弟子に号を授与するのに、自筆で大書したもので、印可状と同様に権威をもつ。
(3)法語(ほうご) 仏法の尊厳を説き、自己の悟りの境地を示したもので、師から弟子へ、また同輩の間でも書き贈られた。
(4)偈頌(げじゅ) 五言・七言などの韻文体のもので、偈ともよぶ。法語とほぼ同様な内容である。
(5)遺偈(ゆいげ) 禅僧が死の直前に、弟子たちに辞世の句として書き残したもの。
(6)餞別語(せんべつご) 中国に渡った日本の禅僧が、帰国に際して歴訪した寺の高僧に書いてもらった法語や偈など。
(7)進道語(しんどうご) 師から弟子に、禅の肝要を説いて修行の助けとしたもの。
(8)額字(がくじ) 禅寺の建築の内外に掲げる額の文字。
(9)書状(手紙)。
 これらの墨跡は、書法にこだわることなく、筆者自身の修行の果てに到達した高い精神性が端的に表れた破格法外の書が多く、その個性味豊かな書風が尊ばれている。[古谷 稔]
『木下政雄編『日本美術全集15 禅宗の美術――墨跡と禅宗絵画』(1979・学習研究社)』

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世界大百科事典内の墨跡の言及

【仏教美術】より

…釈迦―十大弟子―各宗の祖師―弟子への系譜を,禅宗や密教で血脈(けちみやく)と称するゆえんもここにある。この系列の美術に羅漢像や祖師像などの肖像や,僧侶自身の墨跡がある。また僧によって仏事を営むための仏具,供養具,梵音具,芸能具も多岐にわたり,僧侶の生活用具も重視された。…

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