水銀がガラスに比べて熱膨張率が大きいことを利用した温度計で、正確には水銀封入ガラス製温度計とよばれる。簡便で正確な実用温度計として18世紀以来今日まで幅広く用いられている。一端が球部となったガラス製細管の途中まで水銀を満たし、残りの空間を真空にして他端を封じた本体と、水銀柱の先端の位置によって温度値を知るための目盛り板とから構成される。安定で均質なガラスでつくり正確な標準温度によって目盛りづけされた精密級のものでは、常温付近の測定において0.02℃程度の正確さが得られる。目的、用途に応じていろいろな型式のものがつくられているが、なかでも最高温度計(測定期間中の最高温度を示す温度計)の一種である水銀体温計がもっとも数多く用いられている。
[三井清人]
水銀の熱膨張を利用した液体温度計の一種.-38~360 ℃ の範囲が測れるものが市販されている.目盛は1/100 ℃,1/10 ℃,1/2 ℃,1 ℃,10 ℃ など種類が多い.毛管の形状には肉厚な一重のものと,肉薄で二重のものとがある.水銀温度計の目盛は取り扱い方によっては,ずれることが起こる.高い温度から急冷すると,水銀だめのガラス部分が十分収縮しないため,目盛のずれとなって現れる.たとえば,氷点を測っても0 ℃ を示さず,負の目盛を示す.これを温度計の零点降下という.零点降下の小さいガラスほど温度計用ガラスに適している(たとえば,エナガラス 59Ⅲ,石英ガラス).石英ガラスは軟化しにくいので,700 ℃ までのものもつくられている.水銀は-38 ℃ で固化するので,それ以下の温度を測るものには水銀中にタリウムを溶かしたもので-60 ℃ までのものが市販されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…容器をガラスで作ったものは,古く17世紀に試作されたのち,さまざまに改良,変形されてきたが,今日もガラス製温度計,またはガラス温度計の名のもとに広く利用されている。また,感温液としてアルコール類(実は,多くの場合石油),または水銀を用いたものが広く普及しているので,それぞれアルコール温度計,水銀温度計と呼ばれる。
[構造]
ガラス製温度計の構造は,単一の肉厚の管で作られたもの(棒状)と毛細管と目盛板とを支持用の管の中に納めたもの(二重管)とに大別される(図1)ほか,簡便な板付温度計,工業計測用の保護枠入温度計などの個別的な呼名で分類されることもある。…
※「水銀温度計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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