液体温度計(読み)エキタイオンドケイ

デジタル大辞泉 「液体温度計」の意味・読み・例文・類語

えきたい‐おんどけい〔‐ヲンドケイ〕【液体温度計】

液体体積温度によって変化することを利用した温度計アルコール温度計水銀温度計など。

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精選版 日本国語大辞典 「液体温度計」の意味・読み・例文・類語

えきたい‐おんどけい‥ヲンドケイ【液体温度計】

  1. 〘 名詞 〙 液体の熱膨張を利用した温度計。ガラスなど透明な毛細管空気を抜いて、水銀アルコールなどの液体を密封し、管に温度目盛りを刻んだもの。

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改訂新版 世界大百科事典 「液体温度計」の意味・わかりやすい解説

液体温度計 (えきたいおんどけい)

ガラスや金属で作った容器の中に液体(感温液)を封入し,温度による液体の膨張媒介にして温度を指示させるようにした温度計。容器をガラスで作ったものは,古く17世紀に試作されたのち,さまざまに改良,変形されてきたが,今日もガラス製温度計,またはガラス温度計の名のもとに広く利用されている。また,感温液としてアルコール類(実は,多くの場合石油),または水銀を用いたものが広く普及しているので,それぞれアルコール温度計,水銀温度計と呼ばれる。

ガラス製温度計の構造は,単一の肉厚の管で作られたもの(棒状)と毛細管と目盛板とを支持用の管の中に納めたもの(二重管)とに大別されるほか,簡便な板付温度計,工業計測用の保護枠入温度計などの個別的な呼名で分類されることもある。また,温度計に目盛線を刻むとき(したがって温度の値を読み取るとき)の条件に関連して,設けられた浸没線より下の部分を,測ろうとする温度に保って,目盛定めおよび読取りをする浸没線付きのものと,感温液全体を測ろうとする温度に保って,目盛定めおよび読取りをするもの,つまり浸没線の設けられていない全浸没のものとの区別がなされる。金属製の容器に感温液を封入した温度計の構造は,圧力式温度計と共通するところが多く,温度の指示は一般に指針によって行われる。

水銀温度計は,通常-35~+360℃程度(特別のものでは最低-60℃,最高+750℃程度)の温度を精度よく測るのに用いられる。アルコール温度計は,通常-100~+100℃程度(特別のものでは最低-200℃,最高+200℃程度)の温度を測るのに用いられる。構造の面から見た特徴をあげるとすれば,二重管のものは精度がよく,棒状のものはじょうぶであるといえる。使用に際して,浸没線付きのものはその線より下の部分を,また全浸没のものでは感温液全体を,測定温度に保ち,十分な時間が経過した後に示度を読む必要がある。示度を読むにあたって,見る方向のずれに起因する視差(図2)を避けるよう注意を要する。なお,金属製の容器に水銀を封入した温度計では,感温部と指示部との高さの差から生ずる誤差に注意しなければならない。

ガラス製温度計のうち,体温計は,大量に生産,利用されてきており,健康管理や医療に不可欠とされているが,近年,体温測定用のサーミスター温度計(抵抗温度計の一種)も普及し始めた。一定期間中の最高温度,最低温度の一方または両方を,後から読み取ることができるように作られた液体温度計もある。また,ベックマン温度計は,補助の液だめを備えた水銀温度計で,0.001℃程度の微小温度差の測定に用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「液体温度計」の意味・わかりやすい解説

液体温度計
えきたいおんどけい
liquid thermometer

アルコール温度計水銀温度計のように,透明容器に入れた液体の熱膨張に伴う液面の位置の変化を利用して温度を測定する計器。通常は内径一定のガラス毛管の下部をふくらませた球部に液体を入れ,管内を排気するか窒素や炭酸ガスを封入して密封し,管側に適当な温度目盛りがつけてある。下部の球部を被測温体に接触させたときに毛管内の液柱の先端がさす目盛りから温度を知る。測温範囲に応じて種々の液体が用いられる。水銀 (沸点 357℃,融点-39℃) を使用した温度計は測定範囲が 300~-30℃である。石英ガラス製のガス入りの温度計には 750℃まではかれる高温用のものがある。常温以下の温度を測定する低温用のものでは,-100℃まではエチルアルコールやトルエン,-200℃まではペンタンや,プロパンとプロピレンの混合液が用いられる。通常型の液体温度計は温度の変化に応じて液柱の長さが自由に変動するが,使用目的に応じた特殊温度計もある。測温中の最高または最低温度を示すものが,最高温度計 (体温計はその一種) ,最低温度計,または最高最低温度計である。小範囲の温度差の精密測定用にはベックマン温度計がある。また海水や湖水の任意の深さでの温度をはかるものに転倒式温度計がある。

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化学辞典 第2版 「液体温度計」の解説

液体温度計
エキタイオンドケイ
liquid-filled thermometer

液体の体膨張率はガラスの体膨張率の数十倍なので,ガラス毛管の下部を膨らませて液体を入れたものは,温度が上昇すると液体が見掛け上も膨張し,毛管部分へ伸びるので温度計として用いられる.水銀温度計アルコール温度計が普通に用いられているが,とくに低温用にはペンタンを用いたものもある(-200 ℃).この種の温度計には“浸”の印のついたものとついていないものとがある.“浸”の印のついたものはその印のところまで測定すべき温度に挿入したとき,目盛がその正しい温度値を示しているものである.一方,印のないものは温度計全体が測定すべき温度にあるとき正しい目盛を示すので,一部分だけが測定温度にあるときは露出部分の補正が必要となる.

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