水俣条約(読み)ミナマタジョウヤク

デジタル大辞泉の解説

みなまた‐じょうやく〔‐デウヤク〕【×俣条約】

《「水銀に関する水俣条約」の略称》人為的に排出される水銀やその化合物から人の健康や環境を保護することを目的とする国際条約。2013年に熊本市で署名され、2017年発効。水銀条約
[補説]有機水銀中毒による水俣病の悲劇を繰り返さない、という決意を込めて、条約名に水俣の地名が冠された。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

水俣条約
みなまたじょうやく

水銀による環境汚染や健康被害の防止のため、水銀および水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制・管理する国際条約。正式名称は「水銀に関する水俣条約Minamata Convention on Mercury」である。また、条約前文には水銀の適切な管理が行われなかったために、大きな健康被害をもたらした水俣病の教訓が日本の提案により盛り込まれた。条約案は2013年(平成25)10月に熊本県で開催された国際会議で採択され、2017年5月に締約国が50か国に達したことにより、同年8月に発効した。
 条約では、2020年以降に水銀および電池、一定含有量以上の蛍光ランプ、高圧水銀ランプ、非電子式測定機器(体温計、血圧計など)、農薬・殺生物剤・局所消毒剤など特定の水銀製品の製造や輸出入について原則禁止し、その他の水銀含有製品についても厳格な制限を設け、歯科用アマルガム(合金)は使用を段階的に削減するとしている。新規の水銀鉱山の開発は禁止され、既存鉱山についても条約発効から15年以内に採掘が禁止される。また、大気中に水銀を排出する石炭火力発電所、セメント製造設備などでは、水銀を除去する最新技術の採用を義務づけている。さらに水や土壌への放出の規制・削減や開発途上国などへの技術支援・移転、国内法の整備についても定めている。日本では、環境省が開発途上国に対する資金・技術支援、ならびに水銀対策技術や環境再生に関する情報発信を柱とする「MOYAI(もやい)イニシアティブ」を発表するとともに、同条約の実施を確保するための国内法「水銀汚染防止法」(正式名称「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」平成27年法律第42号)の制定および関係法令の改正が行われた。[編集部]

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