中国の華北地方を流れる河川。海河水系の五大河川の一つ。盧溝河とも呼ばれる。源を山西省北西部の管涔山に発し,上流は桑乾河と呼ばれる。恒山山脈に平行して,その北側を北東流し,河北省に入って官庁峡谷に達する。これより下流を永定河と呼び,南東流して,北京西郊を南下,天津において海河に流入する。長さ650km,流域面積5万0800km2。上流部は黄土高原を流れ,含泥量は黄河に次いで多いので〈渾河〉〈小黄河〉の異名がある。下流部は天井川をなし,河道が移動して,流路が定まらないため〈無定河〉と呼ばれていた。清代〈永定大堤〉を築き流路が一定することを願って〈永定河〉と改名したが,さっぱり効きめがなかった。解放後官庁峡に多目的ダムを建設し,洪水を制御するとともに北京の上水道の水源池とし,発電にも利用している。また1970年下流に永定新河と呼ぶ放水路を掘削し,洪水を流し込んで天津市北塘付近で渤海に流入させる工事を完了した。
執筆者:河野 通博
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中国の河川。海河の支流。上流は河北(かほく/ホーペイ)省懐来(かいらい)県官庁(かんてい)付近で洋河と桑干(そうかん)河に分かれる。前者はモンゴル高原の南辺、万里の長城付近に源を発し、河北省北西部を東流、後者は山西(さんせい/シャンシー)省北部の管涔(かんしん)山に発し、北東流して官庁で前者に合流し、以下を永定河と称する。太行(たいこう/タイハン)山脈にうがたれた峡谷を経て南東流し、北京(ペキン)市の南西部を貫いて天津(てんしん/ティエンチン)で海河(かいが/ハイホー)に合流する。長さ650キロメートル、流域面積5万平方キロメートル。黄土地帯を経由するため沖積土の運搬量が多く、かつては華北平原に出てからの流路は不安定で、多くの分流があった。無定河、渾河(こんが)、小黄河などの名はそれにちなむ。清(しん)代に安定を図って堤防が築かれ、1954年には官庁峡にダムをつくるなど治水工事が進められて、下流域は今日、華北(かほく/ホワペイ)平原の重要な農業基地となっている。
[秋山元秀]
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