日本大百科全書(ニッポニカ) 「江迎」の意味・わかりやすい解説
江迎
えむかえ
長崎県北部、北松浦(まつうら)郡にあった旧町名(江迎町(ちょう))。現在は佐世保市(させぼし)の北西部を占める地域。旧江迎町は1940年(昭和15)町制施行。2010年(平成22)鹿町(しかまち)町とともに佐世保市へ編入。松浦鉄道が通じているが、江迎鹿町駅は隣の鹿町地区に属している。平戸(ひらど)藩時代は江迎川上流の猪調(いのつき)村と、下流の長坂村に分かれており、猪調地区は1933年以降日窒(現、ニッチツ)、住友2社によって採炭が開始され、河口部の江迎地区(旧、長坂村)は石炭積出し港として繁栄した。しかし、1967年(昭和42)の閉山によって町は衰微し、人口は最盛期の半数以下となり、わずかに佐世保(させぼ)重工業の下請工場などが誘致されているにすぎない。潜竜ヶ滝(せんりゅうがたき)や高岩の景勝地があり、付近に松浦(まつら)氏10代披(ひらく)を祀(まつ)る鎌倉神社がある。南部の鷲尾(わしお)岳(351メートル)は地すべりをおこし、また1962年には豪雨による炭鉱のぼた山の流出によって災害を被ったことがある。
[石井泰義]
『『江迎町郷土誌』(1968・江迎町)』