沈佺期(読み)しんせんき(その他表記)Shěn Quán qī

精選版 日本国語大辞典 「沈佺期」の意味・読み・例文・類語

しん‐せんき【沈佺期】

  1. ( 「ちんせんき」とも ) 中国、唐代初期の詩人。字(あざな)は雲卿。河南内黄の人。則天武后の時に修文館直学士となる。美しい辞句と音韻調和に力を尽くし、宋之問とともに沈宋と称された。(六五六頃‐七一四

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改訂新版 世界大百科事典 「沈佺期」の意味・わかりやすい解説

沈佺期 (しんせんき)
Shěn Quán qī
生没年:?-713

中国,初唐の詩人。相州内黄(河南省)の人。上元2年(675)の進士。宋之問らとともに則天武后の寵臣張易之に媚びたため,後に南方へ流されるが,やがて中央へ返り咲いた。〈沈宋〉と並び称されるが,両者を比較すれば沈は七言に長じ,宋は五言にすぐれる。流謫の途中杜甫の祖父杜審言の詩に唱和した七言律詩〈遥かに杜員外審言の嶺を過(よぎ)るに同ず〉などが《唐詩選》に収められる。通行詩集は2巻だが,4巻本,7巻本も現存
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沈佺期」の意味・わかりやすい解説

沈佺期
しんせんき
Shen Quan-qi

[生]永徽1 (650)?
[没]開元1 (713)?
中国,初唐の詩人。相州内黄(河南省)の人。字は雲卿。上元2(675)年進士に及第協律郎,給事中などを歴任したが,張易之に取り入ったため,則天武后政権が倒れると収賄罪に問われて驩州(北ベトナム)に流された。のち神竜年間,中央に呼び戻され修文館直学士から中書舎人,太子少詹事(せんじ)となって終わった。六朝詩の影響を受けつつも清新な詩風で宋之問杜審言らと宮廷詩人として活躍し,また宋之問とともに七言律詩(→律詩)の形式の完成に力があり,「沈宋」と並称される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「沈佺期」の意味・わかりやすい解説

沈佺期(しんせんき)
しんせんき
(656?―714)

中国、初唐の詩人。字(あざな)は雲卿(うんけい)。内黄(河南省)の出身。675年(上元2)の進士。唐代の初めは、六朝(りくちょう)の名残(なごり)を受けて、詩の中心は宮廷にあったため、沈佺期の作品も自然、応酬の作が多く、宮廷詩人的色彩を免れないが、のち、パトロン張易之(ちょうえきし)の失脚により驩州(かんしゅう)(北ベトナム)へ流罪となった際の作品には、個人の感情を盛り込んだ詩作が出現し、六朝詩学の蓄積を継承して、近体詩(七言律詩(しちごんりっし))の定型を完成させた詩人として、盛唐の詩人たちの詩風へと連なる橋がかり的存在となっている。『沈佺期集』がある。

[野口一雄]


沈佺期(ちんせんき)
ちんせんき

沈佺期

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