(読み)はい(英語表記)Pèi

普及版 字通 「沛」の読み・字形・画数・意味


7画

[字音] ハイ
[字訓] さわ・さかん・ながれる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(はい)。(はい)と同じく、草木の茂るさまをいう。これを水に移して、水勢のさかんなるさまをいい、また〔孟子、梁恵王上〕「天、油然として雲を作(おこ)し、沛然として雨を下す」のようにいう。また〔管子、揆度〕に「沛澤」の語があり、大沢の意。〔広雅、釈詁一〕に「大なり」とみえる。〔説文〕十一上に川の名とするが、別に声義のある字である。

[訓義]
1. さわ、大きなさわ。
2. さかん、水勢のさかんなさま、流れるさま、雨ふるさま。
3. はやい、はげしい、力のあるさま。
4. 旆(はい)と通じ、はた、とばり

[古辞書の訓]
名義抄〕沛 オホアメ・タマル・カタフク/沛 アグナフ 〔立〕沛 オホアメ・ソソグ・ニブシ・アメサカリ

[熟語]
沛渥沛焉・沛・沛沛乎沛若・沛然沛沢沛騰沛沛
[下接語]
滞沛・沛・汎沛・滂沛

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「沛」の意味・わかりやすい解説

沛 (はい)
Pèi

中国,江蘇省北西部,徐州地区に属する県。沛県は秦代に置かれ,初め泗水郡の郡治であったが,漢代に郡が沛郡に改められると治所は相県(安徽省宿県北東)に移された。以来沛郡,沛国,彭城(ほうじよう)郡,徐州などに属して現在にいたる。漢の創始者である高祖劉邦の出生地で,彼は前209年に沛の住民に推されて沛公となり,ここを本拠に兵を挙げ,ついに天下統一を達成した。建国の功臣,蕭何(しようか),曹参(そうさん),周勃,夏侯嬰(かこうえい),樊噲(はんかい)らはいずれもこの地の出身であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沛」の意味・わかりやすい解説


はい
Pei; P`ei

中国,漢代の町。現在の江蘇省北端,徐州専区に位置する。劉邦 (→高祖) の出身地で,蕭何 (しょうか) ,周勃,夏公嬰ら功臣の出身地。秦の泗水郡,漢の沛郡,後漢の沛国,以後沛郡,彭城郡,徐州などに属した。

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